週刊シネママガジン特別企画映画女優について

映画女優について

 今日は僕のスター観というか、まあ、思いつくまま、女優についてあれやこれや語らせてもらいたいと思います。ちょっとした雑談と思って読んでください。

 男ですから、僕も女優を見るのは楽しみなのです。女優で映画を選ぶことはありませんが(好きな人が出ているからといって、その映画の内容に興味がなければ見ないという意味)、映画を女優の善し悪しで評価することはよくあります。どんな映画でも、女優が出てくると、華があっていいですね。

 僕は17歳のころから映画を見続けていますから、だんだんと女優を見る目が変わってきました。今となっては、女優という女優、どんなタイプの人でも魅力を感じてしまいます。そこが女優の偉大なところだとも思います。どんな女優にも魅力はあるものです。女優はいわゆる美人とは違いますね。美人じゃないけど、存在感がある。何か引きつけるものがあるのですね。結果的に、それが「いい女」なのです。

 僕はほぼ毎週スターのことについて語ってきた男ですから、さすがにこうなると、好きなタイプを選ばなくなってきました。正直言いまして、僕は年上の女性も年下の女性も好きなのです。それから、長身の女性も好きですし、背の低い女性も好きなのです。スリムな女性も、ぽっちゃりの女性もどちらにも魅力はあります。母性を感じさせる人もいいし、守ってあげたくなるようなか弱い人もいいですね。

 映画ばかりを見ていたら、女性の良さというものがわかってきます(同時に、男の良さというものもわかってきます)。いや、これは映画を見ているからなのではなく、人生経験を積んできたからなのかもしれませんが、でも僕は映画の貢献もかなりあるはずだと思っています。ジャンヌ・モローソフィア・ローレンらヨーロッパの女優たちの良さも、だんだんとわかってくるものなのです。

 映画をあまり見ない人が、ヒロインを見て「ブス」だとか「デブ」だとか言うことがありますよね。そういう人のことは放っておきましょう。彼らには女性の本当の良さがわからないのでしょう。こういうときに僕がよく引き合いに出すのがケイト・ウィンスレットキルスティン・ダンストクリスティーナ・リッチですね。彼女たちのことを悪く言う人がいましたが、僕は全然そうは思わないんですよね。みんなすごくチャーミングじゃないですか。

マリリン・モンロー 今、僕の一番の好みのタイプは、ベティブープです。アニメーションですけど、すごく可愛い。リアルでいえば、クララ・ボウとかマリリン・モンローあたりになるんですかね。

 マリリン・モンローはほんと、別格の別格、最高の女優だと思います。彼女を超える人はいませんね。よくセックスシンボルとかいいますけど、そんなのじゃなくて、本当にひたすら可愛いじゃないですか。とにかく「可愛い」という表現がよく似合うと思います。彼女は奇跡です。その生き様も伝説的なので、もっともっと評価されてもいいと思うのですが、なぜか映画雑誌で彼女がフィーチャーされることはあまりないですよね。どちらかというとオードリー・ヘプバーンの方が映画ファンには人気が高いんですよ。マリリンは映画ファンに限定しなければ、断然世界一の有名人なんでしょうけど。でも「ローマの休日」と「お熱いのがお好き」を比較したら、そりゃ「ローマの休日」の方が恋愛映画として優れているでしょうから。

 オードリーは、マリリンとはまた違った面で王道でした。あの着こなしですね。なんといってもオシャレ。ファッション面ですごくかっこいいんです。あと、妖精とよく表現されるように、その透き通った表情が素敵ですよね。

 マリリンは、隙だらけのところがいい。こんな僕でも、マリリンなら彼女にできそうな気がするんですよ。オードリーは高嶺の花で、絶対彼女にできないと思うんですけど、マリリンなら、なんとか落とせそうな、そんな気分にさせちゃう。そうやって観客にシミュレーションさせてしまうところがマリリンのすごい才能で、だからマリリンは本当に凄い女優だったと思うのです。オードリーはスター然とした感じでしたけど、マリリンはあれだけのトップスターなのに、なんだか近くにいるように思えてくる。でもマリリンはすべての男性に対してあんな風に女性らしく接していたのですから、恋人にとっては、マリリンが他の男と一緒にいるところを見るのは、許せないでしょうね。僕にはジョー・ディマジオの気持ちがよくわかりますよ。

 マリリンの写真には、止まっているような写真と動いているような写真があります。僕が好きなのは動いているような写真。これが本当に可愛い。マリリン・モンローはしぐさがとてもチャーミングなので、動いているような写真だと、しぐさまで想像しちゃう。もっとこういうマリリンを皆さんにも知ってもらいたいですよ。ちなみに僕の部屋にはマリリンの写真がいっぱい飾ってあります。

ナタリー・ウッド マリリンの次に好きな女優をあげるなら、真っ先にナタリー・ウッドですね。若い頃のナタリーじゃなくて、ちょっと老けてからのナタリーが好きですね。びっくりするくらいマスカラをつけているところが、性的な魅力を醸し出してます。あのマスカラは、女性が真っ赤な口紅をつけることと同じくらいの効果があるのかもしれません。女優は若いうちがいいともいいますが、ナタリーのように老けてからむしろ良くなった人もいるので、一概にはそうとは言えませんね。

 年を取ると、女優の趣味も変わりました。10年前は少女顔のテレサ・ライトが好きだったのに、今じゃマレーネ・ディートリヒみたいに、すごく大人っぽい人が好きなんですよね。現役の女優でも、昔はぽちゃっとしたエリザベス・シュー一筋だったのに、今はムチっとしたキャサリン・ゼタ・ジョーンズが一番好きですね。来年はまた好きな人が違っているかも。

 エリザベス・シューは、最初に好きになった女優だから今でも応援しています。もはや僕は彼女のお父さんのような感じで見守っていますよ。「リービング・ラスベガス」でアカデミー賞にノミネートされたときは、嬉しかった反面、なんだか寂しくもなったものです。ファンの嫉妬心というものは僕のハートにもあったわけです。

 キャサリン・ゼタ・ジョーンズは、映画によっては良いときと悪いときがあるわけですよ。「マスク・オブ・ゾロ」や「ターミナル」のキャサリンはあまり好きじゃないけど、「シカゴ」と「オーシャンズ12」のキャサリンは好きでして、一人の女優でも、映画によって好きなときと嫌いなときがあるわけです。

 だから「何々」の「誰」という具合に、女優を作品に限定して語るのは正しい考えなのかもしれません。だってヒッチコックやエイドリアン・ラインみたいに、女優を撮るのがすごくうまい監督もいれば、下手な監督もいるわけですから。

 「何々」の「誰」と1本に限定してあげるなら、僕にとって最愛の女優は「ライムライト」のクレア・ブルームです。彼女は「ライムライト」以外の作品では今ひとつなんですけど、「ライムライト」だけにかけてはこれ以上ないほど素敵な人なのですよ。どこがいいのかって、ただ主人公と二人で暖炉の前で会話しているだけのシーンがいいのです。まるで夫婦みたいに仲むつまじい感じが出ていて、いいなあと思わせる。あんな人がそばにいたら、男はさぞ幸せでしょうね。「ライムライト」のクレア・ブルームに関して言えば、僕にとってはマリリン・モンローやナタリー・ウッドの存在を優に超えてますね。

 僕は映画の中だけの女優を見るようにしているつもりですが、まれにプライベートを知ってから好きになった女優もいます。キャメロン・ディアスはその一人。僕は彼女の良さがどうしてもわからなかったのですが、あるとき、彼女がテレビのインタビュー番組に出演したとき、すごく緊張して声が震えているのを見て好きになっちゃいました。彼女も普通の人なんだなと、そういう隙がある方が、なんだか可愛げがありますよね。女優というのは、映画の中では演技をしているわけです。だから、テレビなどで、素の姿をみせたとき、すごく印象が変わって見えたりすることもあるのです。そこで好きになるか嫌いになるか、変わってくることもあります。

 よく、好きな女性のタイプは何かと聞かれることがありますが(たいていこういう質問をするのは男の友達ですが)、困った質問もあったものです。どんな女性にもチャームポイントはありますから、誰を好きになるかなんて、わかりませんよ。

 恋愛映画を見ていても、僕にはどうしたって男の恋心しかわからないので、たとえ主役が女性でも、常に男性側の視点から見てしまう癖があります。やっぱり女ってものはさっぱりわかりませんね。でも、だからこそ魅力があるような気もしています。男性の視点から女優を見ても、何も間違っていません。皆さんも、女優にもっと恋をしましょう。

2007年10月1日