「彼女の良さがわからんのか」
ある男が「おまえにはジャンヌ・モローの良さがわからんのか」と語っているところを、僕の姉は目にしたことがあるらしく、それ以来、うちの姉はジャンヌ・モローが、何かとてつもない魅力を持った女優ではないかと、気になっていた。
彼女は、好きな人にはたまらない、分かる人なら分かる魅力を持つ女優で、その魅力を知った人間は、彼女の虜になること間違いなしである。ハマった男たちにとって、その魅力に気付かないでいる男たちが可哀相に思えてくるほどだ。僕も昔は「こやつのどこがいいんだ?」と思っていたが、しだいに彼女の魅力に引かれてしまい、ついに離れられなくなった。
彼女はヌーベルバーグの映画で有名になった女優である。自由奔放な作風を特徴とする若者たちの映画作りの中に、彼女の美しさはときには自然体に、ときにはアーティスティックに映った。特に、「突然炎のごとく」での彼女の表情のクロースアップは、映画史に残る名場面となっている。
僕は「黒衣の花嫁」が気に入っていたので、気になる姉にはこれを見せたが、姉もまたモローの不思議な美しさに見入っていた様子だった。
フランス映画界のみならず、世界中の巨匠たちによって演出されてきた大物女優であるが、その中でもルイ・マルが手掛けた作品は多く、初期の傑作「死刑台のエレベーター」などはコレクターにはたまらない一本となっている。
傑作多し!
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