クレア・ブルーム

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クレア・ブルーム  

 うーん、この人ももうマニアックな部類に入ってしまうんだね。50年前は、日本一人気のあるスターだったのにねえ。失礼な言い方すると、一発屋だったんだけど。

 イギリス生まれの彼女は、ちっちゃい頃からバレエと演劇の両方を学んでいた。もちろんシェイクスピア劇にもいっぱい出た。バレエもできて、演技もできる女優は、滅多にいるものではないだろう。その才能が喜劇王チャップリンに見つかって、クレアの運命が変わる。チャップリンの人情悲喜劇「ライムライト」(52)のヒロインに抜擢されたのである。チャップリンはイギリス人だが、彼の映画はどれも妙にアメリカ臭かったものであるが、「ライムライト」だけはクレアのイギリス嬢ぶりがチャップリンに負けないくらい光っていたので、チャップリンの映画では最もイギリス的な香り高い作品となった。「ライムライト」はワンマンのチャップリンが珍しく女優を自分と同等ランクに立たせた作品で、2時間以上にもなるストーリーをチャップリンとクレアのほぼ2人だけの演技だけで見せた。考えてみれば、チャップリンの映画で主人公といえる人物が2人いる作品は「ライムライト」だけである。結局アメリカではチャップリンの事情でお蔵入りになったが、日本・イギリス・フランスでは大ヒット、クレアはその年の映画雑誌の人気投票で第1位に選ばれた。

 しかしそれから後はどうだろう。「リチャード三世」(55)など、シェイクスピアにいくつか出てはいるものの、あまり目立っていない。他に「チャプマン報告」(62)、「たたり」(63)、「暴行」(64)、「寒い国から帰ったスパイ」(65)、「まごころを君に」(68)、「朝やけの空」(70)、「タイタンの戦い」(81)、「重罪と軽罪」(89)などがある。舞台でも評判がよかった「暴行」は海外版「羅生門」である。
  蛇足だが、58才にもなるクレアを自作に起用したウディ・アレンには感服しちゃいます。

 

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