ストーカー宇宙人の仕業だろうか。何が起きたのかわからない「ゾーン」。そこに派遣された軍隊は全滅。しかし、このゾーンの奥には、人間の望みをかなえる「部屋」があるといわれていた。3人の男が、この「部屋」を目指して、危険なゾーンの奥へと進む。
ほとんどのシーンの登場人物はたったの3人だけ。彼ら3人が「部屋」の前にたどり着くまでを、ソ連の名匠アンドレイ・タルコフスキー監督は静かで緊張感あるタッチで崇高に描きあげた。あきらかにこれはSF映画であるが、アメリカ映画にありがちな直接的な小細工や仕掛けは一切ない。この映画が偉大なのは、何かが起きそうで何も起きないことにある。しかし、その空間からは、なにかしら神のような、おそろしい存在を感じ取ることができる。その水・土・緑・廃墟の色彩イメージはため息が出るほど魅惑的で、映像の神秘に吸い込まれるようだ。3人の姿をただじっと後ろから写し出すカメラも秀逸である。タルコフスキーは、映像だけで、映像が語るそれ以上の「見えないもの」を表現している。 →DVD

1979年、アメリカの離婚問題が深刻化し、結婚した二組に一組が離婚するまでになる。その問題を映画化したのが「クレイマー、クレイマー」で、この年のアカデミー賞最優秀作品賞を受賞した。政治問題を描いた「チャイナ・シンドローム」、労働者問題を描いた「ノーマ・レイ」、ベトナムを描いた「地獄の黙示録」など、社会的な作品が高く評価された年だった。
記念碑的SF映画「エイリアン」が公開されたのもこの年。マーロン・ブランドの出演ギャラが史上最高額となった「スーパーマン」は興行成績ナンバー1となる。また、人気SFテレビシリーズ「スター・トレック」はロバート・ワイズによって映画化され、SF映画が興行成績の上位に並んだ。
海外ではドイツ年というほどドイツ映画が目立つ年だった。「マリア・ブラウンの結婚」、「ブリキの太鼓」などの作品はニュー・ジャーマン・シネマと呼ばれた。
イタリアでは「エボリ」、オーストラリアでは「マッドマックス」、ソ連ではアニメーション映画の最高傑作といわれる「話の話」が公開された。日本では今村昌平監督の「復讐するは我にあり」が各映画賞を総なめにした。また、この年日本ではジャッキー・チェンの映画が多数紹介され、ジャッキー人気に火がついた。当時はカンフー映画ではなく空手映画と言われていた。
メアリー・ピックフォードジョン・ウェイン、ニコラス・レイ、マール・オベロン、ダリル・F・ザナックがこの年亡くなった。
 

ダスティン・ホフマン
離婚問題を描いた「クレイマー、クレイマー」で7歳の子供の父親修行に奮闘するパパ役を演じ、見事アカデミー賞主演男優賞を受賞。

クリストファー・リーブ
1938年の人気コミック「スーパーマン」を実写で映画化。クリストファー・リーブがスーパーマンのイメージを決定づけ、子供達の憧れの的になる。
マザー・テレサ
インドの修道女。この年インドでの献身的救済活動を認められてノーベル平和賞を受賞。この時69歳。
1. スーパーマン
2. スター・トレック
3. ダーティファイター
4. ロッキー2
5. エイリアン
2006年1月3日