宇宙人の仕業だろうか。何が起きたのかわからない「ゾーン」。そこに派遣された軍隊は全滅。しかし、このゾーンの奥には、人間の望みをかなえる「部屋」があるといわれていた。3人の男が、この「部屋」を目指して、危険なゾーンの奥へと進む。 ほとんどのシーンの登場人物はたったの3人だけ。彼ら3人が「部屋」の前にたどり着くまでを、ソ連の名匠アンドレイ・タルコフスキー監督は静かで緊張感あるタッチで崇高に描きあげた。あきらかにこれはSF映画であるが、アメリカ映画にありがちな直接的な小細工や仕掛けは一切ない。この映画が偉大なのは、何かが起きそうで何も起きないことにある。しかし、その空間からは、なにかしら神のような、おそろしい存在を感じ取ることができる。その水・土・緑・廃墟の色彩イメージはため息が出るほど魅惑的で、映像の神秘に吸い込まれるようだ。3人の姿をただじっと後ろから写し出すカメラも秀逸である。タルコフスキーは、映像だけで、映像が語るそれ以上の「見えないもの」を表現している。 →DVD
ダスティン・ホフマン 離婚問題を描いた「クレイマー、クレイマー」で7歳の子供の父親修行に奮闘するパパ役を演じ、見事アカデミー賞主演男優賞を受賞。