今週のスター 

No.120
ジョン・ウェイン
John Wayne (1907〜1979)

 ウェインはアメリカの象徴だった

 ジョン・ウェイン・・・愛称はデューク。
 デュークが演じてきた人物は、正義感に溢れる男たちであった。アメリカを愛する男たちであった。男の映画の中の男たちであった。
 デュークはアメリカ人の憧れであり、アメリカで最も人気のある俳優のひとりである。

 ジョン・ウェインといえば西部劇、ジョン・ウェインといえば戦争映画。また、西部劇といえばジョン・ウェイン、戦争映画といえばジョン・ウェインだった。ウェインはこの二つの大カテゴリーにおいて覇者となった。
 日本人には戦争映画としてのウェインはあまり馴染みがないかもしれないが、ウェインの戦争映画は士官学校の授業などでもよく上映されることが多く、学校に写真が飾られるほどで、若き兵士たちの目標になっている。ウェインは常にリーダーシップの強い軍人を演じ、アメリカ兵にやる気を持たせた。ウェインが役者になった理由が、実は兵隊になる試験に落ちたから、というのは何とも面白い話である。

 ウェインの落ち着いた歩き方、目つき、表情、声は、誰もが真似をした。彼の真似をしているだけで、若者たちは英雄気分になれた。ごっこ遊びで奪い合いになるのはウェイン役であった。ウェインのキャラクターは、それほど観客たちの身近なところにあった。
 彼は沢山の西部劇の名作に出演した。西部劇には彼が出ていなければ何か物足りない気がするのは、それだけウェインがガンマンのイメージに近かったからだろう。とはいっても、西部劇というのはあれは作家たちが作り上げた全くの架空話であり、実際の開拓時代では、あんなに凄腕のガンマンなど存在するはずがなく、本当のガンマンは皆臆病で、敵を殺すのも背中からが当然だった。それをウェインは一大娯楽に仕立て上げたのである。ウェインこそガンマンのイメージを作り上げたその人なのである。この功績があるので、彼は以後何世紀に渡って愛され続けるに違いない。
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