週刊シネママガジン今週のスタージャッキー・チェン
ジャッキー・チェン
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ジャッキー・チェン
 最初は「酔拳」(78)などのコミカルなカンフー映画で一世風靡し、次は「ポリス・ストーリー 香港国際警察」(85)などの自作自演による刑事コメディで人気爆発。この人については、熱烈なファンがいるため、少しばかり世代違いの僕がここで彼について語ったところで、「そんなんじゃないぞ」と言われるかもしれないけど、僕なりの思い出もあるわけで、拙文ながらも語らせてもらいます。
 みんなジャッキー・チェンを見ていた。みんなジャッキーを真似してカンフーごっこをしていた。女の子たちもジャッキーに夢中だった。雑誌での人気投票では毎年のようにジャッキーが1位。みんなジャッキーの映画を「映画」という概念としてでなく、純粋にカンフー物として享受していたので、ジャッキー・チェンがれっきとした映画俳優であり、監督だったことは、まったくと意識したことがなかった。これはひとえに、ジャッキーというその人自体が流行そのものだったということである。このムーブメントはマニア向けのブルース・リーの人気を遙かに凌いでいたろう。
 まだビデオデッキが裕福な家庭にしか買えなかった時代である。当時はフィルム・コミックなるものが売られていた。これは映画のコマの写真に吹き出しを入れて、1冊の漫画本として読めるようにしたものである。ジャッキー・チェンのフィルム・コミックは当時のヒット商品だった。一家に一台DVDがある現代では、考えられない商品だ。僕の姉も持っていて、一度読ませてもらったが、時代を感じるとともに、ジャッキー人気のすごさを実感したものである。そういえば、姉とは「ツイン・ドラゴン」(92)を一緒に見た思い出もあった。まさにドラゴンだよなジャッキーは。
 ジャッキーは香港のマネーメーキング1位である。香港のスターはみんなサービス精神が旺盛だと聞くが、ジャッキーは中国語・英語・日本語の三カ国語でサインするというから、そこからも人柄の良さがうかがえる。
 昔アメリカ映画に出たことがあったが、それでもアメリカではジャッキー・チェンの名前はほとんど無名だったらしい。なんだかショックだった。日本ではジョン・ウェインよりも人気があるのに、アメリカでは誰も知らないなんて・・・。「レッド・ブロンクス」(95)の成功でようやく認められ、アカデミー賞のセレモニーにも出席。にわかにカンフー・ブームが到来しているハリウッドでは、ジャッキー映画が人気急上昇。以後、ジャッキーはハリウッド映画を中心に大活躍中である。50歳を過ぎても、ジャッキーは最高のパフォーマーである。

2004年4月25日