【さ】 【し】 【す】 【せ】 【そ】

【さ】


サイズ
[撮]

 画角。フレーミングされた画面。




サイト・ライン sight line [撮]

→イマジナリー・ライン




細部ショット detail shot [撮]

 拡大率の大きいクロース・アップ・ショット。顔の一部を撮った映像や、小さい被写体の大写し映像。



サイレント映画 silent film [作]

 音声のない映画。無声映画。1930年頃までは全ての映画がサイレント映画であった。セリフは字幕で表示する。フィルムの撮影速度が遅かったので、サイレント映画用フィルムは上映すると少し早送りしたような映像になる。



サウンド
 sound
[編]

 セリフ、効果音、音楽など、音声全般を指す。ハリウッドの場合同時録音が普通で(イタリア映画などはアフレコが主流)、映像と音を同調させるためにカチンコが使われる。撮影中は絶えずマイクがカメラに写らないように注意を払わなければならない。上映の際は、フィルムの横につけられたサウンドトラックから音を出力する。「時計じかけのオレンジ」(71)からドルビー、「ディック・トレーシー」(90)からデジタル録音と、サウンド機器もだんだんと発展している。
→アフレコ、音響、カチンコ、サウンドトラック、トーキー映画、ドルビー




サウンド・ステージ sound stage [装]

 トーキー映画を撮るために建てられた専用特設ステージのこと。MGMスタジオがミュージカル「ブロードウェイ・メロディ」で初めて本格的に建造した。現在もその名残で、撮影のために特別に作られたスタジオのことをサウンド・ステージという。



サウンドトラック soundtrack [他]

(1)フィルムの端にある帯状の録音帯。普通のカセットテープと同じ原理の磁気サウンドトラックと、ギザギザ模様に光線をあてて、その変調によって音を読みとる光学サウンドトラックがある。
(2)映画音楽を収めたアルバム。OST。




炸裂薬
[装]

 火薬装置の一種で、一瞬にして燃焼・爆発するもの。ガン・エフェクトには欠かせない。



サスペンス映画 suspense film [作]

 観客に不安感や緊張感を抱かせる映画。犯罪ものに多い。アルフレッド・ヒッチコックの功績で、ひとつのジャンルとして確立された。
→スリラー、ホラー映画、ミステリー




撮影監督 director of photography [撮]

 照明とカメラ映像に責任を持つスタッフ。



サブウーファ subwoofer [映]

 重低音を再生するための専用のスピーカー。低すぎる音は人間の耳では聞き取ることができないが、振動だけは伝わる。



サブジェクト・リバーシング [撮]

 対象の動きにつれて始めのイマジナリー・ラインを越えること。
→イマジナリー・ライン




サブタイトル subtitle [作]

(1)映画の題名の前後に付けられるタイトル。説明的なタイトルや、宣伝的なタイトルなどが付けられる。「映画に愛をこめて アメリカの夜」のようなものは前サブ、「レイダース 失われたアーク」のようなものは後サブという。傍題。副題。
(2)映画の字幕で、時間や場所などを示したもの。




サブリミナル subliminal ad [編]

 潜在意識下広告。フィルムに一瞬だけ別の映像を挿入し、意識されるすれすれの刺激を繰り返し与えて、購買意欲をそそること狙ったもの。



サミュエル・ゴールドウィン Samuel Goldwyn Company [製]

 ハリウッド黄金時代の敏腕プロデューサー・サミュエル・ゴールドウィンが23年に創設した独立プロダクション。配給契約したUAを通じて、みるみる業績を上げ、30年代から40年代にかけては「孔雀夫人」、「嵐が丘」など、ウィリアム・ワイラー監督の作品群が絶賛されている。55年より、サミュエル・ゴールドウィン・Jr.の会社と合併、現在はMGMの傘下だが、ミニ・メジャー映画会社の代表格である。



サラウンド・サウンド [映]

 劇場内を包み込むように四方からスピーカーの音を出し、立体的な音響空間を作り出すこと。



残像現象 afterimage [他]

 人間が持つ生理学的視覚効果。人が見たものは、少しの間だけ網膜に焼き付けられるので、その現象を利用すれば、写真が動いているように見せることができる。1秒間に24コマ以上の映像ならば、ちらつきは全く感じなくなる。



三枚目 comedian [演]

 いつも滑稽な演技をする役者。



35ミリ 35mm [撮]

 撮影用あるいは上映用フィルムの幅。映画といわれる映画のほとんどは35ミリ・フィルムで撮られている。アカデミー賞では、35ミリ以上のフィルムで上映したものでなければ選考の対象とならない。
→16ミリ、70ミリ、8ミリ

【さ】 【し】 【す】 【せ】 【そ】

【し】


CIC Cinema International Corporation [製]

 ユニバーサル、パラマウント、MGMの作品をビデオ発売する会社。もともとはUIPの前身であった。
→UIP



CF [作]

 コマーシャル・フィルム。映像のCM。



シーケンス
 sequence
[編]

 いくつかのシーン、ショットの組み合わせ。ひとつのストーリーとなる場面の単位。シークェンス。
→シーン、ショット




シーケンス・ショット sequence shot [撮]

 複雑なアクションを一回で撮った単一の長いショット。ヒッチコックの「ロープ」はほぼ全編がひとつのシーケンス・ショットから成り立っている。ワンシーン・ワンカット。



CG
 computer graphics
[編]

 コンピュータを使って画像を創作したり、加工したりすること。「トロン」から本格的に使われ、現在はほとんどの映画で活用されている。



CCD
 charge coupled device
[撮]

 光情報を電気信号に変換する半導体素子。DV、スキャナ、ファックスなどに使用される。光を画素ごとに電気信号に変換するため、CCD画素数が多いほど画像は美しくなる。
→3CCD




CGI
 computer generated image
[編]

 CGで作られた3次元映像。



シーン
 scene
[編]

 一場面を指す単位。単一のアクションの連なり。普通、いくつかのショットの組み合わせ。シーンを組み合わせると、シーケンスとなる。
→シーケンス、ショット




ジェネレーター generator [装]

 ロケーションのときに仕様する発電器。騒音がひどいため、撮影現場から離れた場所に設置される。




磁気サウンドトラック [編]

 録音方式のひとつで、フィルムに塗られた磁気に音が記録される。
→サウンドトラック




史劇
 historical play
[作]

 歴史上の人物に取材したドラマ。歴史劇。
→コスチューム・プレイ




試写
[映]

 映画の公開に先立って、その作品を上映すること。試写での反応をもとにして、作品のクオリティは練られていく。
→ラッシュ



時代劇 jidai-geki [作]

 武家時代を題材や背景にした日本映画。黒澤明の功績により、世界的にも人気が高いジャンルである。



シチュエーション situation [脚]

 劇的境遇。状況。事態。



シナリオ scenario [脚]

 脚本のあらすじ。あるいは脚本そのもの。
→脚本




シナリオ・ハンティング scenario hunting [製]

 シナリオに出てくる土地に実際に訪れ、調査すること。
→ロケーション・ハンティング




シネカリ [編]

 フィルムを直接ひっかいて絵を描くアニメーション。ダイレクト・ペイント。



シネマ・ヴェリテ cinema verite [作]

 簡単な機材を使って少人数スタッフで作ったフランスのドキュメンタリー映画。演出を加えず、真実を映す。ジャン・ルーシュの作品が有名。



シネマコンプレックス [映]

 10前後の複合映画館。完全入替制であるため立ち見がなく、メジャー作品でもゆったりと座って見られる。日本では神奈川のワーナーマイカルシネマズ海老名、福岡のキャナルシティ・AMCエンタテインメントの成功をバネに、次々とシネコンが建てられている。ショッピングセンター内にあるのが特徴で、買い物ついでに映画を見る観客が増加し、映画産業の流れを大きく変えている。



シネマスコープ CinemaScope [映]

シネマスコープ 1953年に20世紀フォックスが開発したワイドスクリーンの商標名。最初の映画は「聖衣」。高さは普通のサイズと変わらないが、幅は高さの2倍から2.5倍と、とにかく横長である。映画館のスクリーン・スペースをいっぱいにつかって上映するために、映像はかなり巨大化する。【写真はシネマスコープのロゴ】



シネマトグラフ cinematographe [映] 特集記事のページはこちらへ

 1894年にフランスのリュミエール兄弟が発明したカメラ映写機。一般公開されたのは1895年の末である。



シネマ・ノーヴォ Cinema Novo [作]

 1960年代のブラジルで起きた運動で、新しい作風の映画を作ることを目指した。グラウベル・ローシャの「アントニオ・ダス・モルテス」など。
→ニューシネマ、フリーシネマ、ヌーベルバーグ




シネ・モービル
[製]

 70年代頃から製作費を節約するためにアメリカで使われるようになった手法で、機材を何もかもトレーラーに積み込み、スタッフ・キャストもトレーラー・ハウスで撮影地まで移動するというもの。



シネラマ Cinerama [映]
シネラマ用カメラ
 アメリカのフレッド・ウォーラーが開発したワイドスクリーンの一方式。1952年に発表。3台のカメラで同時撮影したものを、3台の映写機で、湾曲したスクリーンに上映するというもの。縦横比は1:2.88。錯覚で立体的に見える。1962年からは、アナモフィック・レンズと70mmフィルムを利用した1台カメラ・1台映写機のシステムに変更された。シネラマ作品では「おかしな・おかしな・おかしな世界」、「2001年宇宙の旅」などの傑作がある。



シノプシス synopsis [脚]

 あらすじ。



絞り
 diahragm
[撮] 特集記事のページはこちらへ

 カメラで、レンズを通る光の量を調節するための装置。絞りを開くと(F値は小さくなる)、被写界深度が浅くなり、ピントの合ってない部分がぼやけて写る。絞りを絞り込むと(F値は大きくなる)、被写体深度が深くなり、遠景と近景の両方がくっきりと写る。シャッター・スピードと密接に関わる。
→F値、シャッター速度、被写界深度




字幕スーパー [映] 特集記事のページはこちらへ

 せりふの意味や画面の説明などをフィルムに焼き付けてスクリーン上に写し出すもの。



市民ケーン Citizen Kane [作]

 最高の映画のたとえ。1941年にオーソン・ウェルズが発表した作品から。



下手 [他]

 画面の左側。
→上手




写真 picture [他]

 映画。日本の映画業界の人たちは映画のことを「写真」という。



シャッター・スピード shutter speed [撮]

 カメラで、レンズを通る光量を調節するための設定のひとつ。シャッター・スピードを上げると、感光時間が短くなるため、ブレを解消することができるが、暗い場所では絞りを開く必要があるので、焦点が浅くなってしまう。シャッター・スピードを下げると、感光時間が長くなるので、暗い場所でも撮影ができるが、ブレが生じやすくなってしまう。
→絞り




シャレード charade [脚]

 2種類ほどの場面を使って、伝えたいものを間接的に描写すること。



シャロウ・フォーカス afterimage [撮]

 奥行きの浅い焦点面を作り出して撮影したもの。ピントの合ってない部分はピンボケする。
→ディープ・フォーカス、被写界深度




ジャンプ・カット jump cut [編]

 ひとつのシーンの中で画面を切り替え、連続した時間を断続的に見せる技法。ジャン・リュック・ゴダールが「勝手にしやがれ」で意識的に使っている。時間の短縮、テンポの調整、フィルム代の節約など、用途は様々である。



ジャンル genre [作]

 作品を種類別にしたときの、その種類名。アメリカではジャンルは大きくわけて「アクション」、「コメディ」、「犯罪もの」、「ドキュメンタリー」、「ホラー」、「ミュージカル」、「SF」、「西部劇」、「ドラマ」にわけられる。



集音マイク [装]

 役者のセリフなどを同時録音するための巨大なマイク。ポールに固定してあり、役者の頭の上に差し出して録音する。このとき、スタッフたちはフレームにマイクの影などが写らないように注意をはらわなければならない。



主観カメラ
 subjective camera
[作]

 映画の内容を、主人公の視点あるいは作者の視点から見せること。



シュルレアリスム surrealisme [作]

 1920年代フランスで起きた前衛的な芸術運動。映画ではルネ・クレール、ルイス・ブニュエルの初期作品が代表的である。超現実主義。シュール。



焦点距離 focal length [撮]

 主点から焦点までの距離。カメラ用語では、レンズからフィルムまでの距離のこと。焦点距離の長いものは望遠レンズで、短いものは広角レンズである。
→広角レンズ、望遠レンズ




16ミリ 16mm [撮]

 フィルム・サイズのひとつ。35ミリ・フィルムに比べると画質は粗いが、テレビよりは画質が良く、低予算で撮影ができる。ドキュメンタリー映画、B級映画、インディーズでよく使われる。上映の際、35ミリに引き延ばしてプリントすることが多い。
→35ミリ、70ミリ、8ミリ




照明 lighting [撮]

 撮影で、光に関する技術・装置。照明を工夫して、スターを美しく見せたり、舞台にムードを持たせたり、キャラクターの感情を表現したりする。欧米では、照明を取り仕切るのは撮影監督の仕事で、日本のように「照明監督」は存在しない。



松竹松竹 [製]

 日本の映画会社。1902年に白井松次郎、大谷竹次郎兄弟が演劇の会社として設立、アメリカ映画を見習って、1920年から「島の女」を皮切りに映画も手掛けるようになる。



助監督 [撮]

 監督のアシスタントを務めるスタッフ。ランクがあり、チーフはキャスティング・ロケハン・エキストラの演出・編集などを担当、セカンドはスタッフへの指示・記録などを担当、サードはカチンコ・力仕事などを担当、フォースはその他の雑用を担当する。ジャン・ルノワールの助監督として付き添っていたルキノ・ヴィスコンティ、ジャック・ベッケル、ロバート・アルドリッチのように、後に監督として独り立ちするケースもまれにある。



初号プリント [製]

 上映用としてプリントされたもので、一番最初にできあがったもの。



shockwave [他] 特集記事のページはこちらへ

 インターネット上でFLASHなどのマルチメディア・データを再生するソフト。マクロメディアが開発。shockwave用のデータは、同社のDirectorというソフトを使って作ることができる。



ショット shot [撮]

 長さに関係なく、切れ目なしに撮影された単一のフィルム。場面のまとまりを表す最小単位である。



シリアル serial [作]

 日本では連続活劇と言い、同じ登場人物、同じ舞台設定で何作も製作すること。最初から続き物として作るため、話の途中で映画が終わることもある。コロンビアの「三馬鹿大将」は190本も作られた人気長寿シリアルである。シリアルは、後のテレビドラマの原点でもある。



シリーズ series [作]

 続きもの。各ストーリーは一回ごと完結する。「ジェームズ・ボンド」、「スター・ウォーズ」、「エイリアン」、「男はつらいよ」、「インディ・ジョーンズ」など。ハリウッドでは作品がヒットすると、シリーズ化される可能性が高い。高い興行収入が見込めるからである。



シリカゲル Silikagel [他]

 乾燥剤のひとつ。フィルムを湿気から守る。効き目がなくなっても、火を通せば再利用することができる。



シルバー・スクリーン [映]

 劇場で使われている映写用のスクリーン。表面に金属粉を塗布してあり、スクリーン全体均等に色を再現する。銀幕。



シンクロサウンド [編]

 撮影中に同時録音された音声。



ジングル [編]

 15秒程度の短い曲。ラジオやテレビ番組、ゲームなどで使われる印象的なサウンドである。



シングルショット single-shot [撮]

 フレーム内に人物がひとりだけいるショット。

【さ】 【し】 【す】 【せ】 【そ】

【す】


スウィッシュ・パン swish pan [撮]

 画面が見えなくなるほど早いパン。




スーパー
 superimposition
[編]

 特殊効果で、ひとつの映像に別の映像を重ねること。



スーパー・インポーズド・タイトル
 superimposed title
[編]

 字幕スーパー。スーパーインポーズとは二重焼きすることを意味する。



ズーム zoom [撮] 特集記事のページはこちらへ

 レンズの焦点距離を撮影中に変化させて作るショット。広角から望遠に接近するのはズーム・イン(ズーム・アップ)、望遠から広角に引くのはズーム・アウト(ズーム・ダウン)という。しばしば移動ショットの代わりに使われる。ズーミング。
→移動ショット




スカウト
 scout
[製]

 新人発掘。



スクイーズ [他]

 DVDソフトの画面アスペクト比を説明する用語。ワイドスクリーンの画面を左右から圧縮して収録したもの。16:9比のワイドテレビでは画像が引き伸ばされ、4:3比の通常のテレビでは上下に黒い幕場がでる。
→レターボックス




スクリーミング女優
[演]

 ホラー映画で活躍する美人女優。叫ぶ(scream)ことが多いので、こう呼ばれる。古くはフェイ・レイ、最近の女優ではジェイミー・リー・カーティスが有名。



スクリーン
 screen
[映]

 映画の画像が投影される平面。しばしばテレビ画面のこともスクリーンとよばれる。



スクリーン・プロセス screen process [撮]

 あらかじめ撮影しておいた背景の映像を映写して、そのスクリーンの前で役者が演技をし、あたかも現地で撮影したかのように見せる特殊技術。



スクリプター scripter [撮]

 撮影現場で、監督の横に座って、撮影した全てのことを筆記する人。どういうアングルで撮影したか、小道具は何を使ったか、ビールの飲み残りはあとどのくらいか、など、あらゆることに目を配らなければならない。日本では「記録」という。



スクリプト・ドクター [脚]

 脚本を手直しする人。脚本家としてはクレジットされない。



スクリム scrim [撮]

 影を落として自然光のような感じを出すためにライトの前につけられる板。



筋売り [脚]

 導入部で人物や場所などを説明すること。



筋書き [脚]

 脚本を執筆する前に、物語をいくつかの章にわけて、展開をメモしておくもの。



スター・システム star system [製]

 50年代までのハリウッドのシステムで、スターを会社の専属にして、他の会社には出演させず、スターを中心に映画を製作、売り出すこと。スタジオ・システムともいう。
→ブロック・ブッキング・システム、メジャー・スタジオ




スタント stunt [演]

 危険な演技。離れ技。怪我するおそれのある撮影で、スターの代わりに演技をする人をスタント・マンという。



スタンド・イン
[撮]

 ロング・ショットなど、スターの顔が見えないような場面で、スターの代わりに別の人を立たせること。替玉。



スティル still [製]

 映画の一コマの拡大写真。宣伝用に使われる。スチル。スチール。



捨てぜりふ [脚]

 ストーリーとは関係のない台詞だが、いれておかなければならない台詞。登場人物が重要な台詞だけを喋っていたのでは、面白くないし、わかりにくいので、こういう捨てぜりふを適度に加えなければならない。


ステディカム
ステディカム
 Steadicam
[撮]

 手持ちカメラ撮影用の機材で、これを使うと移動撮影をしても画面がぶれることはない。モニターがついているので、カメラマンはファインダーを覗きこむ必要はない。「ウディ・ガスリー/わが心のふるさと」(75)で初めて使われ、「シャイニング」(80)の直進方向移動撮影で有名になった。低予算映画製作に向いており、アマチュアでもわりと簡単に購入することができる。【写真はシネマプロダクツ社のステディカム】



ストック・ショット stock shot [編]

 フィルム収蔵庫から借りてくる映像素材。ライブラリー・ショット。



ストップモーション [編]

 静止している画面。「大人は判ってくれない」のラストで効果的に使われた。フリーズ・フレーム。



ストップモーション・アニメーション [撮]

 粘土で作ったキャラクターなどを、微妙に動かしながら1コマ1コマずつ撮影し、連続した動きを作り出すこと。1秒間の映像でも24回も動かさなければならない。昔の特撮の主流であった。



ストリーミング [他]

 インターネット上で、完全にダウンロードしていなくても再生可能な映像・音声など。前の部分を再生しながら次の部分をバッファに蓄えて継続的に見せる。



スニーク・プレビュー [映]

 映画の製作段階で、予告なしに行う先行試写会。観客の反応を見て作品は手直しされる。



スピンオフ spinoff [作]

 テレビ・シリーズで、シリーズの設定を借りたまま、あらたに新しく作られるシリーズ。人気の脇役キャラクターが主演に回ったシリーズなど。



スプライス splice [編]

 フィルムとフィルムの断片を特殊テープなどで接合すること。



スプリット・スクリーン split screen [編]

 フレーム内でオーバーラップされていない2つ以上の映像。



スプリットフィールド・ダイオプターレンズ [撮]

 極端な前景と後景の両方に焦点をあてて撮影することを可能にするレンズ。



スプロケット穴 sprocket hole [撮]

→パーフォレーション



スプロケット・ホイール sprocket wheel [撮]

 フィルムを走行させる歯車。



スペクタクル spectacle [作]

 大勢のエキストラが登場し、衣裳や装置などが大掛かりな作品。「ベン・ハー」など。



スポークン・タイトル spoken title [編]

 サイレント映画などで、セリフを書いた字幕。



3CCD
[撮]

 デジタルカメラなどの撮影読みとり方式。被写体の色情報をR、G、Bの3色に分けてそれぞれにCCDを割り当てるため、色の再現力に優れている。3版式。
→CCD




3-D three-dimensions [撮]

 立体映像。左右の作りが異なる特殊なメガネをはめて見ると飛び出して見える。赤と青の映像をかけあわせたものや、縦線と横線をかけあわせたものなどがある。



スリーパー sleeper [作]

 前評判が悪かったのに大ヒットした映画。



スリット・スキャン [撮]

 特殊効果装置の一種で、一コマ撮影する間に細い隙間を上下左右に動かすことによってフィルム上に光学的な模様を作り出す。「2001年宇宙の旅」のスターゲートの場面で劇的に使われた。



スリラー thriller [作]

 サスペンス、ホラーなど、恐怖映画全般を指す。観客に不安と恐怖を抱かせる映画。
→サスペンス、ホラー映画




スロー・モーション slow motion [撮]

 ゆっくりしたアクション。フィルムの回転速度を速めることで、作り出される。ミニチュアセットを使った爆発シーンなどは、スローモーションで見せると、重量感が生まれる。昆虫の羽の動きなど、通常は見えないような動きも撮影することができる。

【さ】 【し】 【す】 【せ】 【そ】

【せ】


青春映画
[作]

 ティーンエージャーの男女たちを主人公にして友情・恋愛・成長・反抗・悲哀などについて描いた人間ドラマ。思春期映画などもこの部類に属する。ヤング向けの学園ものに多いのが特徴だが、中には犯罪ものやSFファンタジーなどの変わり種もある。人気の高い作品は、「ウエスト・サイド物語」、「エデンの東」、「アメリカン・グラフィティ」、「ヤング・ゼネレーション」など。
→恋愛映画




西部劇 western [作]

 およそ100年前のアメリカ西部を舞台に、アメリカ人のフロンティア・スピリットを描いた男のドラマ。保安官、騎兵隊、無法者、インディアンなど、登場する人物の設定は常にマンネリだったが、派手なガン・アクションや、ロマンチックな恋愛描写など、娯楽的な見せ場が次から次へと展開され、観客たちをおおいに熱狂させた。しかし、いつしか衰退し、今では珍しいジャンルとなっている。ジョン・ウェインの作品群は名作揃い。
→マカロニ・ウエスタン




セカンド second [撮]

 助監督のひとり。チーフの次に偉い。
→助監督




セカンドラン second run  [映]

 封切館に次いで二番館で上映すること。



セシルカット
 Cecile cut
[他] 特集記事のページはこちらへ

 髪を頭の形にそって短くカットし、自然な毛の流れで整えたショート・ヘアスタイル。1958年作「悲しみよこんにちは」に主演したジーン・セバーグの髪型で有名になった。



セッシュウ [装]

 台に乗せてものを高くすること。ハリウッドで活躍した背の低い日本人俳優の早川雪洲が、いつも踏み台に乗って演技していたことから名付けられた。よいしょ台。



セット set [装]

 撮影する場所。ふつう、人工的に作られたものをいう。



セットアップ set-up [撮]

 カメラと照明の位置。



背中 [撮]

 撮影で、しゃべっている役者の背中が写っている構図。



セピア sepia [撮]

 モノクロ映画の一種で、全体がイカ墨色(黒褐色)の映像。



台詞 dialogue [演]

 役者が演技中に述べる言葉。独り台詞はモノローグ(独白)という。



セル cell [撮]

 アニメーション映画で、絵を描くための透明のフィルム。1秒間の動画のために24枚のセル画が描かれる。



セレブリティ celebrity [他]

 名声。芸能界で有名になった人。



零号 [他]

 すべての作業が終了して、仕上がりをチェックするために上映される一番最初のプリント。このプリントに問題がなければ、それは「初号」プリントとなり、関係者の前で披露されることになる。



センサラウンド sensurround [映]

 ユニバーサルが74年「大地震」で開発した音響方式。スクリーンの下に専用のスピーカーを設置して迫力のある低音を作り出した。この方式は、5作品で使われた。



戦争映画 [作]

 近代戦争をテーマにした映画や反戦映画。最前線の戦いを描いたもの、収容所での生活を描いたもの、被爆地の生活を描いたもの、戦争を批判したものなど、カテゴリーは様々である。名作との誉れが高いのは「西部戦線異状なし」(第一次世界大戦)、「戦場にかける橋」(第二次世界大戦)、「地獄の黙示録」(ベトナム戦争)など。コメディではチャップリンの「独裁者」が代表的。



前面性 frontality [撮]

 役者が観客側を向いている構図。

【さ】 【し】 【す】 【せ】 【そ】

【そ】


走査線 scanning line [他]

 テレビの画像を電気信号に変換するために、画素を順次走らせる水平な線。



装置 setting [装]

 舞台を視覚的・造形的に装飾し、表現力を高めるもの。大道具・小道具・衣裳・照明など。
→美術




相互依存 [他]

 映像・音声などがお互いに依存しあっているシーンのこと。



ゾーイトロープ
zoetrope
 [他]

 円筒を回転させて、円筒の内側の絵をその反対側のスロットからのぞくと、絵が動いているように見えるおもちゃ。映画の原点となる。【写真】
ゾーイトロープ



ソープ・オペラ soap opera [作]

 昼間に放送される連続ドラマ。



ソーラー・スポット [装]

 照明のひとつ。光束を自由に調節できるので、利用範囲が広い。



ソニー・ピクチャーズ・エンタテイメント Sony Pictures Entertainment [製]

 日本の電気産業最大手ソニーが89年にコロンビア/トライスターを買収して立てた映画会社。SPE。
→コロンビア




ソフト・フォーカス soft focus [撮]

 フィルターなどをつかって、映像の線を柔らかくぼかして見せること。