映画誕生の歴史
今の映画が生まれるまでには、多くの試行錯誤があった。
この部屋では、映画が誕生するまでの歴史的遺産を展示している。
16世紀 | 16世紀。「カメラ」の原点が生まれる。「カメラオブスクーラ」である。 暗箱の側面に取り付けたレンズが、投影する像をもう一方の側面の内側に置いたガラスに写し出す仕掛けである。 |
17世紀〜18世紀 | 「映写機」の原点が生まれる。「マジック・ランタン」である。 透明の紙に描かれた絵を、ランタンの火で照らして白いスクリーンに投影する仕掛けである。 当時ヨーロッパでは、興行師がマジック・ランタンを背中にしょって、国中を巡回し,子供たちに夢を与えていた。 |
1833年 | 19世紀になると、残像という視覚効果が発見され、残像を利用したおもちゃが沢山生まれた。その中でも画期的だったのが、「フェナキスティスコープ」である。 鏡に向かってそのおもちゃを勢い良く回転させ、スリットを覗いて鏡に映った絵を覗くと、まるで絵が動いているように見える仕掛けである。 このアニメーション技術こそ、「映画」の原点なのだ。 |
1839年 |
1826年、世界最初の写真「ヘリオグラフィ」が発明される。しかしこれは露光時間が長くて画質も悪く、実用的ではなかった。 |
1860年代・1870年代 | 1860年代には、パラパラ漫画を本格的に見せる装置「ゾーイトロープ」が売り出される。 連続したイメージが描かれた回転ドラムを勢い良く回転させ、ドラムに開けられたスリットから覗くと、イメージが息を得たように動いて見える仕組みで、観客を大いに驚かせた。 1870年代にはゾーイトロープを更に発展させた、「プラキノスコープ」が発明される。内側に置かれた鏡にイメージが写るというもので、1892年には、これを工夫して、上部のライトの光を反射させてイメージを外部へと投影させ、世界で初めてスクリーン上に映像を写し出すことに成功した。 |
1872年〜1877年 | イギリスの写真家エドワード・マイブリッジは、1872年から5年間かけて「馬の連続写真」を撮影している。道にワイヤを張ってカメラのシャッターをつなぎ、走る馬がワイヤをひきちぎるたびにシャッターが切られるという仕組みで、こうして撮影した写真は「映画撮影」の原点となる。 |
1882年 | 1882年、簡単に連続写真を撮影することができる「写真銃」が発明される。ライフルの形をしたもので、目標に向かってトリガーを引くと、ドラムが一瞬で回転し、1秒間に12枚の連続写真を撮影する仕組みである。鳥が羽ばたく様子なども鮮明に記録することができた。これが「映画カメラ」の原点となるのである。 |
1888年 | 発明王と言われたエジソンは、世界で最初の映画スタジオ「ブラックマリア」(意味は囚人護送車)を建て、そこで助手のディクソンに世界最初の映画カメラ「キネトグラフ」を開発させた。ブラックマリアでの日々の研究は、「映画製作」の原点であったのだ。 |
1894年 | 1894年、「キネトスコープ」という大きな装置が作られ、ついにブロードウェイで動く写真が一般公開される。 キネトスコープは、上に覗き穴がついていて、そこから覗くと、動く写真が見えるというものだった。 一度に1人しか見ることができなかったので、店内には何台も置かれた。 キネトスコープは、当時は300ドルで買い取ることができた。 |
1895年 | 1895年、いよいよ「映画」が誕生する。 フランスで、リュミエール兄弟が、「シネマトグラフ」を開発。12月28日、観客の前で巨大なスクリーンに動く映像が映しだされたのであった。 人が歩く映像や、列車が近づいてくる映像に観客は興奮した。 これが「映画」の始まりである。 1905年には、アメリカで本格的な映画館「ニッケルオデオン」(名称はニッケル硬貨一枚で見られたことから)も登場。 こうして「映画」は、20世紀最大の娯楽として我々の日常に定着していくことになる。 |