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宮崎駿のイマジネーションが炸裂する空想絵巻「ハウルの動く城」が公開からほぼ丸1年を経てDVD発売した。僕はこれを映画館でみて、その映像世界にすこぶる感動したものだが、宮崎映画は大抵2回目からが面白いので、DVDでも再見してみた。率直に言えば、1回目ほどの感動はなかった。1回目はすべての映像に新鮮味を感じたものだが、2回目では映像がごちゃごちゃしてうるさく感じてしまったからだ。また、1回目では映像の迫力ばかりに気を取られていたが、2回目ではやや少女漫画的なロマンチックすぎる作風が鼻についたりもした。しかし1回目の衝撃は本当に大きかったので、これが大傑作であることを否定するつもりはない。不思議な不思議な世界観は今見ても魅力がある。戦争のシーンは必要がないようにも思えるが、あえて紋切り型になることを避けたストーリー展開は好きである。
さて、DVDの品質についてだが、この特別版はディスク4枚組になっている。これに「1/24second」という名の置物が付く。この置物は1コマ(24分の1秒)のフィルムを透明盤の中に入れたものだ。高級感があり、なかなかいい。映画の一部をずっとそばに置いておくことができるということで、「ハウルの動く城」が好きな人には永遠の宝物になりそうな置物だ。
ディスク4枚のうち、2枚が本編、2枚が特典DVDである。特典は2枚でなくとも1枚に入りそうな内容だが、全てのシーンの絵コンテを本編音声にあわせて収録した特典には驚いた。CGの解説も興味深い。セル画っぽかったので僕はCGは使ってないものと勘違いしていたが、そのトリックをじっくりと解説している。この他宮崎駿とメビウスの対談、ジョン・ラセターのインタビューなども面白い。宮崎駿がどういう考えで映画を作っているのか、また、彼が世界でどれほど評価されているのかを知ることができた。
音声は、あのジーン・シモンズとローレン・バコールとクリスチャン・ベールが吹き替えを担当した英語音声が気になるところだが、クリスチャン・ベールの声がなんかキムタクとイメージが違う。アメリカではああいう低い声の方がモテルのかもしれない。特典では久しぶりにジーン・シモンズの顔を拝むことができた。若い頃は本当に綺麗だったが、おばあちゃんになってもお茶目な感じが素敵で、ソフィーそっくり。しかし英語吹き替え版本編の日本語字幕が耳が不自由な人のために作られた字幕しか表示されず、英語吹き替え向けの日本語字幕が用意されていないのはかなり不親切である。制作ミスか?
DTS音声に対応しているのは日本語のみ。他の音声は2chだったのが痛いが、しかし日本語だけでもDTSの品質は文句なしの迫力だった。
画質にはほとんど文句はないのだが、プロジェクターでみるとややジャギー(斜めの線がギザギザに見えること)が気になった。美しい映像作品なので、もう少し高画質で見たかった。本編DVDがせっかく2枚あるのに、それぞれ音声以外に違う点はなく、わざわざ2枚に分けた意味がよくわからないのだが、どうせ2枚にするのなら、本編を前編後編に分けて、音声ではなく映像面を強化してもらいたかった。
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「ハウルの動く城 特別収録版 1/24second付き」
ブエナ・ビスタ
8,925 円
ディスク枚数 4枚
映像:ビスタサイズ(スクイーズ)
音声:日本語6.1chサラウンド DTS-ES、日本語・英語・仏語・北京語・広東語/2.0chステレオ
ドルビーデジタル
字幕:日本語・英語・仏語・北京語・広東語
キャッチコピー
「ヒロインは、90歳の少女。恋人は、弱虫の魔法使い。ふたりが暮らしたハウルの動く城。このばあさんが、かなり元気!
宮崎駿が描く生きる楽しさ、愛する歓び。全世界注目の感動超大作」
映像再生品質:A-
音声再生品質:A
特典充実度:A
コストパフォーマンス:B-
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