ジーン・シモンズ
ジーン・シモンズ

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ジーン・シモンズ  

 おそらくイギリスで最も人気のある女優である。「大いなる遺産」(46)の小生意気なお嬢様役を演じたときは、まだ17歳であったが、まるでヴィヴィアン・リーを思わせる美しさだった。続く「ハムレット」(48)では19歳にしてオフェリア役を獲得し、熱演。同作でベネチア映画祭の最優秀女優賞を受賞し、それからは助演女優でありながらも、しばらくの間イギリスのマネーメイキングスターの1位の座を守っていた。

 これだけの人気なので、当然ハリウッドからも招待され、52年からはハリウッド映画を中心に活動を開始、「大いなる西部」(58)など映画史に名高い作品に多数出演する。とくに世界初のワイドスクリーン映画「聖衣」(53)、キューブリックの史劇「スパルタカス」(60) など、コスチュームプレイのオファーが多かった。

 シモンズは、頬がくぼんでいて、表情が落ち着いており、庶民的な雰囲気も併せ持ち、少しばかり聖女のようなイメージがある。聖女ゆえに、恋愛には難しい女である。
 彼女にしては珍しい現代ものの「野郎どもと女たち」(55)も、やはり恋に難しい女の役。ギャングが、高飛車のシモンズを口説けるかどうかという賭けでシモンズに言い寄り、結局は本当に愛し合ってしまうというミュージカルである。酒に酔ったシモンズの暴れっぷりはファン必見である。

 最愛の人リチャード・ブルックス監督作品「エルマー・ガントリー」(60)も面白い。流れ者が、宗教団体の女教祖シモンズに恋をしてしまうという話。同作でもシモンズは主役をサポートする役である。

 僕が見たシモンズの映画はここにすべて紹介した。好きな女優なのに、作品は意外にも少なかった。たぶんシモンズがあくまで地味な脇役タイプだからだろう。
 彼女が演じる役は、主人公の心の支えとなる女ばかり。観客は主人公に感情移入するので、観客も主人公のように、シモンズに恋してしまうのである。シモンズ人気の秘訣はそこにあるのではないだろうか。

 

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