言わせてみれば、クリスチャン・ベールはカルト俳優の代表格みたいなものだった。もともとは子役として「太陽の帝国」(87)で映画デビューを飾ってはいるが、大人になってからはマニアックな作品が多い。その三大作品はといえば「アメリカン・サイコ」(00)、「リベリオン」(02)、「マシニスト」(04)であろう。この3作品は、クリスチャン・ベールがただものではない俳優であることを証明した。
「アメリカン・サイコ」。これはつまりはヒッチコックの「サイコ」、あるいは「悪魔のいけにえ」の元ネタであるテキサス・チェンソー事件に感化されたロック・オタクが、大殺戮を繰り返すも、しまいには何が本当で何が嘘なのかがわからなくなってしまうというパロディ的なスリラー。観客を煙に巻く迷宮映画である。自分よりも立派な名刺を持っている人をぶっ殺すクリスチャン・ベールのキレぶりとナルシストぶりが高く評価されている。
「リベリオン」。これは感情を持つことを制御された近未来のお話。表情を殺してド派手なガンアクションを見せつけるクリスチャン・ベールがめちゃくちゃかっこいい。「マトリックス」の真似とケナされた作品にしては、マニアの間では「マトリックス」以上の出来栄えと称賛される作品だ。
そして究極が「マシニスト」。極度の不眠症男を体を張って演じた。この作品のため、クリスチャン・ベールはゲッソリと痩せてみせた。監督が待ったをかけても、「いや、まだ痩せられる」と、ついには骨と皮膚だけというほどガリガリに。まるでサナダムシダイエットに失敗したかのような体で、歩くガイコツとあだ名がついた。この体当たりの演技が認められて、晴れてクリスチャン・ベールは「バットマン・ビギンズ」(05)に、新生バットマンとして大抜擢される。前作とは打って変わってムキムキに体を鍛えたクリスチャン・ベールが演じるバットマンは、それまでのバットマンとは一味も二味も違っていたし、シリーズ最高傑作と評された。こうしてクリスチャン・ベールは、今後、最も期待できる若手俳優のひとりになったのである。
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