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スタッフ自ら「掟破り」と銘打ったように、雰囲気から何まで他誌とは育った土壌が違う。アクの強い表紙の写真から、ヅカンと一発かち割られた気分になるが、無駄に高いお値段といい、「映画秘宝」のロゴマークから漂ううさん臭さは、マニア心をくすぐってやまない。手に取ってみると、まず異変に気づくのが、左から右へ読んでいくこと。普通日本の雑誌は右から左に読んでいくものなので、そこで一般人は拒絶反応を示すかもしれない。開いてみると、文字はどぎついゴシック体。しかも強調したい言葉を更に太字にしているため、お上品な雑誌に慣れている人にとっては、少々読みづらいところがあるかもしれない。しかも取り上げている映画は、カンフー映画、怪獣映画、アニメ映画、マカロニ映画、ヤクザ映画、カニバリ映画など、どこかヘン。キャッチコピー「闇に光を当てつづける映画雑誌」に偽り無しだ。取り上げる俳優もちょっとひねくれてて、人気投票ページでリー・ヴァン・クリーフが上位に食い込む雑誌なんて、他じゃありえない。字幕スーパーよりも吹き替えシンパなところも大変ヨロシク、声優についてもおおいに語る。テレビゲームも映像作品としては立派な映画ということで差別していないし、男としては肉体派グラビアも嬉しい。というかこれは女性が見る雑誌じゃないな。男性向きの映画雑誌といえば「スターログ」と「DVD
Club」とこれくらいしかないが、その中でも抜きんでて風変わりだ。
至る所に見られるヘンな雰囲気も含めて、そのすべてが愛らしく、マニアにはたまらない一冊。ほとんどの記事がコラム、座談会など、企画ページというのも見どころであるが、切り口の鋭さ、アイデアは業界ナンバー1品質といっていい。これが正しい記事の作り方だ。
→第17回「ピクトアップ」へ続く
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「映画秘宝」
株式会社洋泉社
毎月21日発行
発行部数10万部
http://www.yosensha.co.jp
/hihotop.html
今回取り上げたナンバー
「2004年12月号」1050円
表紙/アンジェリーナ・ジョリー
※主な記事
闇に葬られた日本映画10
トドメの一撃 ジェダイの復讐
撮り下ろしグラビア 滝沢乃南
大槻ケンヂのパイパニック対談
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