映画雑誌雑感
DVDClub

 DVD情報誌の中では一線を画す「DVD Club」。他のDVD情報誌が「情報」優先の雑誌であるのに対し、「DVD Club」はもっぱら読み物として力を入れており、DVD情報誌という肩書きで片づけるのはもったいないくらいよくできている。他のDVD情報誌と比べて、ページ数が少なく、全体の15%は正真正銘のエロ本なのだが、85%は文句なしの正統派映画雑誌だ。映画雑誌とエロ本をまっぷたつに区切った2層構造というわけだが、映画雑誌の部分だけでも他誌を凌ぐ充実ぶりである。なんといっても文章にセンスがある。週刊誌でよくみられるような、リズミカルで威勢のいいユーモラスなタッチである。好色映画の巨匠ティント・ブラスの作品傾向を分析するなど、記事の内容は自由気ままで、執筆者の個性がそのまま表れているところが良く、最初から最後まで楽しく読むことが出来る。おもしろおかしく作ってはいるが、根は真剣で、構成は親切丁寧。上質の映画雑誌を作らんとする野心がうかがえる。アクが強すぎるので、読者の意見も分かれるだろうが、僕はこの手の文章が大好きである。表紙にアイドルの写真をもってくるなど、いかにも勝負師的なところも気に入った。映画雑誌というのはどれもこれもミーハーな女性向きのものが多いが、そんな中、本誌はマニアックな男性向けにつくられており、稀少価値の高い良質の映画雑誌といえる。これは本当に掘り出し物だった。
(※保護者の皆様。「DVD Club」にはお子様に不適切な表現が含まれています。ご購入の際は内容をよくお確かめください)

→第14回「ムービー・スター」へ続く

DVDClub

「DVD Club」
株式会社MCプレス
毎月20日発行
http://book.mycom.co.jp/dvdclub/

今回取り上げたナンバー
「2004年10月号」980円
表紙/瀬戸早妃

※主な記事
人類滅亡の日エメリッヒ大王降臨録
脱いで開眼,裸それは女の最大の武器
男の夢と本能を集約 ヒゲとボイン
男筺(おとこばこ) 魂のBOX傑作選

2004年9月30日