週刊シネママガジン特別企画映画雑誌雑感週刊20世紀シネマ館
映画雑誌雑感
週刊20世紀シネマ館
 これは現在唯一「週刊」の映画雑誌であるが、分冊百科型の雑誌であるため、その発行号数には限りがある。もっとも、限りがあるからこそ、最初から最後まで全部集めようという気になるのではあるが。これは全部で50回となるシリーズで、今回の紹介号で、すでに34回目を迎えた。
 映画の分冊百科といえば、以前デアゴスティーニが「ザ・ムービー」という雑誌(広告がないので雑誌というのは疑問だが)を販売しており、「20世紀シネマ館」は良い意味でも悪い意味でも後発となってしまった。おそらく制作前から「ザ・ムービー」に対抗意識があったように思われる(その証拠に両誌とも第1回目の出版はオードリー・ヘプバーンの特集ページで攻めた)。ページ数は「ザ・ムービー」と同じだが、多少あざとかった「ザ・ムービー」の悪い点を考慮し、読みやすい縦組みにして、紹介する映画を5本だけに絞ったのは立派である。「ザ・ムービー」は映画業界の出来事を忠実に文章にして見事だったが、「20世紀シネマ館」はそれとは全く違うノスタルジックな大型写真集というべきだろう。活字は大きく、読むための文章というよりは、写真を引き立てるためのレイアウト上のアクセント的な文字組といったところで、とにかく写真が最たる見所である。映画の中のセリフの一言がうまい具合に写真にかぶせられ、映画の全体像をイメージさせる。古い名画のワンシーンを、このような解像度の高い鮮明で美しい写真で見ることができるのは、映画ファンにとってはちょっとした贅沢(ぜいたく)だ。僕が気に入っているコーナーは、見開き2ページ分まるまる1枚のパノラマ写真で見せる「名画の舞台」。あの映画はここで撮られたのか、と思うと無性に嬉しくなる。

→第9回「スクリーン」へ続く

週刊20世紀シネマ館

「週刊20世紀シネマ館」
株式会社講談社
毎週木曜日発行
http://shop.kodansha.jp/bc/cinema/

今回取り上げたナンバー
「9月30日号」560円
表紙/カトリーヌ・ドヌーヴ

※主な記事
映画史早わかり 品田雄吉
1967年の名画
名画の舞台 ブローニュの森
社会ニュース この年の日本

2004年9月16日