週刊シネママガジンコラムWhat a Wonderful 映画人生!週刊シネママガジンの舞台裏

最終回「週刊シネママガジンの舞台裏」(連載5回) 先週号はこちら

 夢と希望を胸に抱いて、東京に飛び出したのは前回書いた通りです。僕が東京に来たのは忘れもしない1月7日。24歳の誕生日です。西日本では見られない大雪が僕を迎え入れてくれました。単身、無一文同然で来たのですから、住む部屋を見付けるまでは野宿するしかありません。他に方法はあったのでしょうが、バカだったので、外で寝るしかないと思ったのですね。最初の1週間はずっと池袋の路地で生活していて、本当に寒い思いをしましたが、ようやく所沢に、今の部屋を見付けました。
 次は仕事です。生意気な青二才の僕は、本当に世の中を甘く見過ぎていました。どこにいっても不採用。蟻同然の仕打ちです。自分が何とちっぽけに見えたか。初めて現実の本当の厳しさを知り、本気で大泣きしました。このとき面接恐怖症に感染したのですが、その病気は今も治っていません(たぶん)。バブルって奴がどんなものだったのか、一度くらいは経験してみたかったなぁと羨みつつ、とりあえず映画とは無縁のネットワーク関係の会社に入ったのでした。
 仕事を始めたことで、金銭面に余裕ができ、映画ライフも以前に増して充実してきたはずです。東京に来たことで、自分の名前も売り込みやすくなりましたし、俳優や監督、マスコミ関係者とのコネもできました。その最初の一歩は、あの有名な週刊誌「SPA!」の映画欄を、月一回担当するようになったことに端を発します。映画関係の仕事をしたのはこれが初めてでした。最初は3ヶ月だけの契約だったはずが、気が付けばもう2年以上やらせてもらってます。東京に来る前は、映画監督と映画評論家の両方に興味があったのですが(なんと具体性のない目標か!)、もうこうなったらプロの映画評論家の道を選ぶしかありません!
 僕はこれからも東京を拠点に活動していくことを心に誓ったのでした。

 

管理人の部屋の間取り 映画のホームページの管理人のくせして、ここまで自分をさらけ出す奴はいないんじゃないでしょうか? ここまで来たら、いっそ僕の部屋をさらしたくなりました。僕は趣味を糧にして生きる生物なので、自分の部屋にいるときが一番楽しいし、自分の趣味に溢れた部屋を友人に自慢するのは気持ちのいいひとときなのです。読者としても、赤の他人の部屋の内装には結構興味があるはず?
 右図が僕の部屋の間取りです。所沢市内で家賃は共益費込みで現在6万2千円なり。一人で住むにはもったいない広さですが、なにぶん多趣味なので、僕はこれでも狭いと思ってます。本や雑誌は2日に1冊ペース、CDやレコードに関しては毎日1枚ペースで増殖してますし、ビデオテープだけでも1000本くらいあるのに、今年からはDVDにも触手を伸ばして、まあこれも週1枚ペースで増え続けているから、このままでは足の踏み場もなくなってしまうのではないかと心配しています。色々モノを買いまくる僕のことをリッチだと思ってる人もいますけど、僕は趣味以外にまったくお金を遣わないので、安月給でもこれくらいは平気で買えるんです。
 勤務している会社が家から往復4時間のところにあるので、平日は部屋にいる時間が短く、この部屋もただの寝室としてしか機能していませんが、週末はホームシアターに大変身します。幸い、隣の部屋と壁が接していないので、夜間でもサブウーファをガンガンならしても音が外に漏れません。この腰にズンズンくる重低音。本物の映画館と比べても、音の迫力では負けてはいないので、映画館で見るよりは、むしろ家で映画を見る方がよっぽど気が楽でいいです。週末、サラダ煎餅でもかじりながら映画を見るのは至福の時であります。

管理人の部屋の写真(洋室作業部屋)管理人の部屋の写真(マイ・コレクション)

 

 僕はホームページの記事を書くとき、決まってファミレスに行きます。ファミレスで2時間くらいたっぷり時間をかけて、アイデアをひねり出すのです。ファミレスに一人で入れないというわけのわからん人はおいといて、とにかく僕は家で作業するよりも、ファミレスで作業する方が断然いいのです。
 ファミレスでネタを考えている間は、ずっとヘッドホンで音楽を聴いています。これは周囲のざわめきを消して集中しやくするためです。僕は学生時代から落ち着きがなく、勉強に専念するためには音楽が欠かせませんでした。
 作業用のノートは、自由に書き込めるように無地のものを使用します。目がチカチカするパソコンの画面を前にしてキーボードをタイプするよりも、ノートに鉛筆で書いていく方が遙かに直感的だし、手を動かすことで、脳が活性化され、良い案が浮かぶという寸法です。消しゴムを使うと一瞬白けて集中力が低下してしまうので、消しゴムは絶対に使いません。間違ったところは鉛筆で二重線を引く方が手っ取り早いし、消しカスも出なくて効率がいいからです。だから僕のノートは鉛筆で書き殴ってぐちゃぐちゃです。
 記事を書くのはたいがい土日。しかし土曜日は5日分の仕事の疲れを癒すために丸一日休養を取ることが多いので、もっぱら日曜日だけ一点集中して作業することになります。僕は夜型人間なので、日曜の夜は夜更かしするのがほとんど。今や趣味のページというレベルではなくなってきており、「作らなければみんなをがっかりさせてしまう」という使命感にかられ、更新に時間をかけすぎて一睡もせぬまま月曜日の仕事に出かけることも多く、本業に著しく支障を来しています。それだけに、読者から良い反応が返ってきたときの達成感ときたらひとしおです。

 

 次は、ホームページを作るための秘訣みたいなものを書かせてもらいます。ここはひとつメモ帳と赤ペンのご用意を。なんて、偉そうに言えた柄じゃないんですけど、まあ僕の独り言だと思って読んでください。少しくらいは参考になるかと。

1.まめに更新していくこと
2.ビジネス的な視点
3.文章力
4 .デザインのセンス
5 .HTML・CGIなどの知識

 僕なりに考えた、ホームページ制作に必要なものは、以上の5つです。僕は常にこの5つを忘れないようにしています。5つとも「好きであること」が一番のモチベーションとなるのですが、何よりも重要視してもらいたいのは「まめに更新していくこと」。作っただけで終わるページはホームページとは言いません。だから僕は開設当初からほぼ毎週更新してきたのです。
 「ビジネス的な視点」。これはどういう企画が読者に受けるか、という洞察力と、どのようにすれば検索エンジンにヒットしやすくなるか、などといった「ページを売り込むための総合的な視点」を意味します。僕は昔書いた文章を今見返すと、恥ずかしくて嫌になることがありますが、それでも古いログを消さないでいるのは、少しでも検索エンジンにヒットしやすくするためです。最近メールマガジンショッピングモールを始めたのも、読者を離さないために色々考えた結果、やってみる価値があったからです。ぜひ色々なことを試した方がいいと思います。成功も失敗も良い勉強になるからです。また、アンケートで読者のレスポンスを調査することも大事です。
 「文章力」。文章がしっかりしていなければ誰も読んでくれないので、これも大切です。でもこれは、「ビジネス的な視点」がユニークであれば、文章の方も自然と面白くなってくるものです。僕はできるだけ多くの人に文章を読んでもらうために、記事の前にキャッチコピーをつけて引きつけるようにしています。
 「デザインのセンス」。重要なのは見た目ではなく中身なので、デザインがへっぽこでも大して構わないのですが、やはり見た目は第一印象を決めるので、軽んずるわけにはいきません。できれば誰にでも見やすいデザインを心がけたいものです。
 「HTML・CGIなどの知識」。この知識がなくともツールを使えば何とかなるものですが、ツールだけでは細かいカスタマイズができませんから、少しくらいは知っていた方が後々から役に立つでしょう。とくにインタラクティブなホームページを作る場合は、この知識は必修です。

 

 5週に渡って連載してきた「What a Wonderful 映画人生!」もいよいよ大詰め。僕の自慢話に長い間付き合ってくれてありがとうございました。
 思い直してみると、今までの出来事のすべてが奇跡みたいなものです。子供の頃、親がファミコンと間違ってセガを買ってきた奇跡(第1週を参照)。あのとき親がファミコンを買っていたなら、今の自分はあり得なかったでしょう。今まで僕が歩んできたすべての出来事が、今の僕を形成する過程の中にあります。だから僕は今までの人生に後悔はしません。
 「週刊シネママガジン」もとうとう4年と半年間続けていることになります。まだ自分では2年くらいの気分ですが、実際は4年半です。時が経つのは早いですね。インターネットの世界では、4年半という歳月はもはや老舗に値するのらしいですが、質の面ではまだまだ僕のページは未熟だと思います。開設当初は「日本一の映画サイト」なんて大それた目標を立てていましたが、漠然としていて、いったい何をもって日本一というのか、その根拠が我ながら意味不明でした。映画愛では誰にも負けていないという自信はありましたが、それはただの自己満足でしかなかったのです。知名度でいっても、上には上がいるもので、一例をあげるなら、澤井隆さんの「impressions and critiques」。澤井さんの書く映画批評ときたら、辛辣にしてその文面は美的感覚に溢れ、もはやアートの領域に達しています。澤井さんには一度お会いしたことがありますけど、逆立ちしてもかなわない人でした。僕なんて、澤井さんの文章を読むたびに自信を無くして筆を捨てたくなるくらいですよ。僕もあんな文章が書ければなぁ。
 思えば、映画雑誌にレビューを書いているプロのライターの文章は、媚びすぎていて読み物としての面白味がないように思います。それよりも、僕はネット上でコツコツ映画批評を書いているアマチュアの人たちの文章の方に読み応えを感じています。もはや映画雑誌のレビューは古い時代のものだと思うのです。これからはインターネットで世界中のアマチュアたちが自己流の批評を書いていく時代です。そして、その新時代の夜明けと共に「週刊シネママガジン」を始められたことを、僕は幸運に思います。その意味では確かに老舗ではあるし、誇りにしていいと思うのです。
 具体的な目標は、自分でもまだよくわからないのが正直な話ですが、毎週更新していくことに生き甲斐を感じているのは確かな事実です。着実に知名度も高まりつつあります。
 今までは自分のために更新してきましたが、それでは他の個人ページとなんら変わらないので、これからは読者のために更新していこうと思います。読者が毎週の更新を心待ちにしてくれるのなら、僕にとってこれ以上の喜びはないでしょう。僕はこれからも「週刊シネママガジン」を続けていくつもりです。期待していてください。その発展を、どうか温かい目で見守ってください。

 

管理人・澤田 2004年10月24日