セックス依存症の少女を老いたブルース歌手が自室に監禁することで救う物語。
監禁の意味がまったく逆というところがこの映画の面白さ。監禁というのは、普通ならば非道徳的な行為であるが、そこを当人も周りの人達も受け入れて行く過程が面白い。テンポが緩やかで、久しぶりにミニシアター映画らしい雰囲気の映画を見たと言う気にさせてくれる。かなりシリアスな面をもった作品で素直にハッピーエンドとは言えない微妙なラインなのに、主人公を取り巻く村人たちがのどかなものだから、ふんわりと心地好い印象を残す。
僕が嬉しかったのは、僕のご贔屓のブルースマン、サン・ハウスのインタビュー映像が使われていたことだ。彼の言葉がそのまま映画のテーマになっている。欲を言えばサン・ハウスの渋い渋いブルースも拝みたかったのだが、代わりに主演のサミュエル・L・ジャクソンが燻し銀のブルースをそれはもうたっぷりと聴かせてくれる。彼はそれほど老けた俳優ではないが、今回は見事に老いぼれ役を演じてくれた。バックで常に聞こえて来るギターの音色もすばらしい。ブルースを映画全編に使った映画は非常に珍しく、村の風景とマッチして、耳に心地よく響き渡る。
圧巻なのは、ほとんどのシーンを半裸で演じたクリスティーナ・リッチの存在感だ。この映画の彼女は必見。ルックス、スタイル、演技力。体当たりという表現だけではあまりにももったいない。最高にキュートで、最高に危なっかしく、それでいて身近な隣人に思えて来るこのただならぬ存在感。まったくその存在だけで、映画を説得させてしまうのだからおそるべしである。
正直僕はクリスティーナ・リッチの実力をみくびっていた。他にはいない、とんでもなく圧倒的なインパクトをもつ女優である。これからどこまで大きな女優になっていくか計り知れない。「モンスター」といい「バッファロー'66」といい、なんなんだこの圧倒的なオーラは。「アダムスファミリー」を見たときは彼女がこれほどの女優だとは想像もできなかった。まったく将来が楽しみでならない。 |