スパイク・リーの作品によく脇役で出演。「ジャングル・フィーバー」(91)で見せた麻薬中毒者役など、登場するたびに強烈な印象を残す。ヒップホップ調のリズムを感じさせる抑揚のはっきりした、味のある濃いめの声を出す俳優である。「ジュラシック・パーク」(93)、「ローデッド・ウェポン1」にも出演したが、まだまだ認められていないところもあった。事件が起きたのは「パルプ・フィクション」(94)。沢山の登場人物がいて、セリフだらけのこの映画で、サミュエルのにらみを利かせた怖いケンカセリフは劇中最も圧巻だったろう(マザーファッカーという単語を実に器用に言ってくれる)。これが好評で、ようやくサミュエルは自分で出演作品を選べるほどの人気俳優となる。香港映画マニアで、派手な立ち回りのシーンに憧れていたサミュエルは、「ダイ・ハード3」(95)、「ロング・キス・グッドナイト」(96)など、アクション映画に好んで出演。早くも念願の「スター・ウォーズ」新シリーズのジェダイの騎士役を獲得し、自慢の殺陣を披露した。また、ブラックスプロイテーションの王道を現代によみがえらせた「シャフト」(00)の主演で、サミュエルは名実共に、今もっともホットな黒人俳優と注目される存在だ。
優しいおじちゃん役をやっても、怖い兄ちゃん役をやっても、パリっとスーツで決めても、子供みたいな可愛い格好しても、なにをやっても様になってしまうとても便利な男である。
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