このコーナーでジョン・カーペンターの映画を紹介するのは「パラダイム」に続いて2度目だ。「パラダイム」を紹介したときかなり反響があったので、また取り上げてみたくなった次第である。
 僕はジョン・カーペンターにすごく愛着があるが、何がいいかというと、やはりそのB級臭さと、マニアックな恐怖シーンの描き方である。彼の作品の中でもとりわけ好きなのがこの「光る眼」だ。突如村のみんなが失神し、気がついたときには村の女達が一斉に妊娠していたというオープニングから始まる。僕の最も好きな監督ロバート・ワイズ先生の「アンドロメダ・・・」と比べるとあまりにも下手な開巻であるが、カーペンターのその不器用さがなかなかに僕は好きである。
 子供を出産すると、生まれてきた子供はみんな銀色の髪だった。この子供達が横2列に並んで歩く光景がそれだけでも異様に怖く、カーペンター趣味満載だ。この子供達の正体は人間の体に寄生している宇宙人である。地球に来た目的は不明だが、自分が生存するためには、邪魔者はすべて超能力で抹殺する。直接殺すのではなく、自殺するように心を操るのである。子供の母親が煮えたぎる鍋の中に自ら腕をつっこむシーンが怖すぎる。このシーンに笑うか怖くなるかでこの映画の評価は分かれるだろう。犠牲者は子供を愛する親ばかり。親を殺す無感情な行為こそがホラーとして成立している要素だが、それでいて、きちんと最後には親子愛が描かれているので、道徳上は問題になるまい。
 この敵は相手の心が読めるのだから、人間側はなすすべがない。敵をやっつけようと思っても、すぐに行動を読まれて虐殺されてしまう。子供達と誰かが会うたびに、この人も殺されちゃうんじゃないかとひやひやさせられる。さてこれをどうやってやっつけるかがこの映画の見せ場である。
 これが面白いのはキャスティング。ジョン・カーペンターの真骨頂「フィラデルフィア・エクスペリメント」に主演していたマイケル・パレもチョイ役で出演。その他「スター・ウォーズ」のマーク・ハミルもかなり重要な役で出演しており、昔スターだったが今では二流になった俳優が揃った感じだ。一番の目玉は主演のクリストファー・リーヴ。彼はこの映画に出演直後に落馬し、首から下が動かなくなってしまう。つまりこれがクリストファー・リーヴ実質最後の作品となる。しかも彼はかなりかっこい役を演じている。面と向かって宇宙人のことを「下等生物」と呼び、彼一人で宇宙人と対決する雄姿には感動しきりである。心を読まれないように心に壁を思い描き、捨て身の覚悟で戦う様が見ていて泣けてくるぞ。頑張れ人類!
 余談だが、この映画のサントラの半分はキンクスのデイヴ・デイヴィスが担当している。その点ではロック・マニアにとっても見る価値のある映画であろう。
 

光る眼

原題:Village of the Damned (呪われた村)
製作年:1995年
製作国:アメリカ
監督:ジョン・カーペンター
出演:クリストファー・リーヴ、カースティ・アレイ、リンダ・コズラウスキー
上映時間:98分
「光る眼」DVD


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2006年2月4日