週刊シネママガジンコラムスクラップ・ブック次世代DVD規格覇権争い

次世代DVD規格覇権争い

 今、映画ファンにとってもっとも関心のあるニュースは、次世代DVDの規格覇権争いであろう。ソニーが提唱するブルーレイ・ディスクと、東芝が提唱するHD DVDの壮絶なバトル。その勝敗を決めるのはハリウッドの大手映画会社がどちらを指示するかにかかっていると言われていた。ブルーレイ陣営にはコロンビア、HD DVD陣営にはワーナーがついていたが、夏の「MGM合併争奪戦」で、ソニーが勝利したため、HD DVD陣営は不利な状態になったが、1月、大手映画会社4社(ワーナー・パラマウント・ユニバーサル・ニューラインシネマ)が一斉にHD DVD陣営入りを正式に固めたため、事態はHD DVDの形勢逆転するかに見えた。映画会社では残り1社ディズニーだけが沈黙を守っていたが、とうとう12月にディズニーが動き出し、ブルーレイ陣営に入ったため、両陣営のシェア率はほぼ互角のものとなった。
 これはかつての、ソニーのベータ、ビクターのVHSによるビデオテープ戦争の再現とも言われている。両者ともその規格にはメリットとデメリットがあったが、映画会社がまっぷたつに分裂したことで、事態は拮抗(きっこう)している。どちらが勝つのかはもはや誰にも予測できず、対立は絶対に免れなくなっている。
 ただし、各映画会社は排他的な見方はしていないので、両メディア同時のソフト発売などもありえる。
 

HD DVD派からのコメント
ほんというと現行DVDで十分満足してるし、いまだに現行DVDの売り上げは上がってるはずだから、次世代DVDなんて必要ないと思うんだけど、どちらかを選ぶのなら、俺はHD DVDを選ぶな。記憶容量はBDに負けてるけど、HD DVDは従来のDVDに近いし、設備も移行しやすそうだしね。量産できるから低価格化の期待もでかい。ユニバーサルは下馬評ではBDに付くと思われていたけど、やっぱりHDの方を選んだもんな。
あと、一番の強みはネーミングだと思う。それまでのDVDの頭にHDがついただけ。HDとはハイ・ディフィニション(高精細)の略だけど、たぶんこれが普及しても、呼び名は「DVD」のままになるんじゃないかな。俺たちは「DVD」っていう名前に慣れちゃってるからね。BDは名前に親しみが感じられないし、ケースに入ってるなんてうざったいよ。ソニーはベータでも惨敗だったからね。俺アンチ・ソニーなんだ。あの独占欲が気にいらねえ。やっぱ東芝だな。

ブルーレイ・ディスク派からのコメント
私は今のDVDの性能にははっきりいって満足してません。だから次世代DVDが楽しみ。家にVAIOが2台あるソニー・ファンの私はブルーレイ・ディスクを支持します。ベータの失敗があるから、ソニーは意地でも負けられません。コロンビアは寝返らないと思うし、ビデオテープ戦争では敵だった松下を味方につけたところも強みです。HD DVDは量産しやすいとか言ってますけれど、BDの方も独シンギュラス・テクノロジーと共同で量産ラインを現在開発中です。
ケースに入っているから壊れにくいし、容量もいっぱい。ディズニーがBD陣営に入ってくれたことで勝利は確実でしょう。ミッキーのデザイン仕様のデッキとかも出るかも。ディズニーランドでのPRもできますね。プレステ2の次世代機もBDになるし、もうDVDと名の付くテクノロジーはおしまい。これからはBDの時代ですよ。

DVD戦争マップ

※このページの情報は2004年12月10日現在の情報を載せています。

2004年12月10日