ポール・バーホーベン、バンザーイ! よくぞここまでアホな映画を作ってくれた。アホ映画にかけてはバーホーベンに勝る監督はいない! すごくお金がかかっているのはわかるのだが、とことんB級くさいストーリーに涙。こういう映画に僕は弱い。未来社会、立派な軍人になるため、猛特訓を受ける主人公の訓練プログラムの物々しさ。軍施設は溌剌としたムードが漂い、ちょっぴり青春映画風の演出。主人公の恋人を演じた女優がたまらなくイイ。クセが強すぎるが、そこがかえって可愛い。いかにもB級映画チックな女優である。出演者の顔ぶれは彼女含めてみんなB級ぽいし、どこか一癖違うぞ。巨大昆虫の群れとの対決も、バーホーベンの悪趣味満開。うじゃうじゃ猛スピードで襲いかかってくるわりには、軍隊の武器はかなりへなちょこ。でも敵前逃亡はしない。無謀すぎる戦い。もう最高! それを伝えるテレビ放送のイってる雰囲気。敵の親玉の造形もなにやらヤバイ。全体的にほとばしるこのアクの強さは、他の映画じゃ、そう見られるもんじゃない。誰しも最初に想像していた内容とは全然違うことにびっくりしただろう。戦争とか社会批判とか、そういう堅っ苦しいメッセージなんて考えずに、とことんこの大騒ぎに加わって見てもらいたい娯楽映画だ。愛さずにはいられない珍作。
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