週刊シネママガジンDVD/ガイド発掘ビジュアルタイムボカン・シリーズ

第13回「タイムボカン・シリーズ」(アニメーション)

 「タイムボカン」のシリーズ。これは僕も子供の頃かなり熱中したアニメである。子供の頃、このアニメを見て育ったという人は幅広い世代でいるに違いない。この前ブロードバンドで久しぶりに「ゼンダマン」を見たが、まったく相変わらずである。「タツノコプロ」のロゴがまぶしく輝く。懐かしいなあ。「解説しよう」と視聴者に話しかけるような故・富山敬のナレーションもいつだって同じだ。僕が見た回の演出は押井守だった。意外だなあ。
 このシリーズも相当歴史が長い。僕は「ヤッターマン」しか見てないので断言はできないが、おそらくこのシリーズは最後までワンパターンを繰り返し通したに違いない。そう思わせるほどに、今回久しぶりに見たときもまったく子供のころ見たときとなーんにも変わっちゃいなかった。いやー、でもよく考えてみても、こんなアニメが見られるのは日本だけなんじゃないかと思って、急に日本人でいることを幸せに感じてしまったわけで。
 まずこのアニメ、悪玉が善玉よりもはるかに目立つ。善玉になぜだかまったく魅力を感じないのだ。やられてばかりでも愛着のある悪役といえば「トムとジェリー」のトムもそうだが、タイムボカンの3人組はその比じゃない。
 シリーズを通して、悪玉3人の声だけは変わらなかった。この3人の声がうますぎる! 女ボス役の小原乃梨子さんは、そのエッチな声で、この当時アニメ雑誌の人気声優で必ずといって毎年のように投票で1位になっていた。洋画の吹き替えでは美女役の常連でもあった。「スカポンタン」という殺し文句は小原さんの造語である。僕の大好きな声優です。
 「全国の女性中学生の皆さん」の呼びかけでおなじみの八奈見乗児さんとのコンビネーションは圧巻である。八奈見乗児さんは「ドラゴンボール」のナレーターとしても有名。マニアックな話題になるが「まじかるハット」というアニメで彼が演じたタウじいさんという役はもろに「タイムボカン」っぽかった。
 この3人組は、毎回毎回バカバカしいメカで主人公に対抗するも、いつもこてんぱんにやっつけられて、最後にはドクロベエにお仕置きされてしまう。木に登るブタやファンファーレメカなど、まったく意味もない演出が毎週飽きることなく同じところで登場する。ちゃんと乳首が描かれたおっぱいポロリも盛り沢山。どこまでもバカバカしいのに、いつもパターンが決まってるのに、なぜか楽しみで楽しみで、毎週見てしまう。3人乗り自転車を漕ぎながら帰っていくところが好きだったなあ。マンネリの極致。これが日本では許される。こんなバカらしいアニメ、他の国には作れまい! 日本人はみんなこういう番組を見て、こういうバカバカしい環境の中で、成長していくんだなあ。日本人で良かった!

ヤッターマン
▲シリーズ第2弾にして最も人気の高かった「ヤッターマン」。DVDは天下無双のジェネオンから発売中。

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2006年5月15日