週刊シネママガジンDVD/ガイド発掘ビジュアルエンター・ザ・マトリックス
第3回「エンター・ザ・マトリックス」(テレビゲーム)
 「マトリックス」ファンならば、これは避けては通れないゲームである。というのも、そもそも「マトリックス」はそれ1本では完結せず、あらゆるメディアを複合して、ひとつの世界を構築しているからである。ウォシャウスキー兄弟は一作目の映画を作ったときから、このすべての構想があったとしたら、相当な天才に違いあるまい。「マトリックス」、「マトリックス・リローデッド」、「マトリックス・レボリューションズ」の3本は当然として、そこにビデオ発売限定のアニメ「アニマトリックス」と、テレビゲームの「エンター・ザ・マトリックス」を含めて、これでようやく全貌に近づいてきた。「エンター・ザ・マトリックス」をPS2,ゲームキューブ、XBOX、Windowsすべてのプラットフォームに対応させたところからも意地でも客を引こうという魂胆か。
 「アニマトリックス」も「エンター・ザ・マトリックス」も映画とリンクしており、映画のストーリーと完全につながる。「アニマトリックス」の登場人物は映画の中にもチラッと出てくるし、「エンター・ザ・マトリックス」の主人公(ジェイダ・ピンケット・スミス)は映画の中ではかなり重要な脇役として登場する。ちょうど「リローデッド」が出た後にこの「エンター・ザ・マトリックス」が出たのだが、映画の有名なシーンがそのまま使われているし、「レボリューションズ」にもつながる大切なつなぎ役でもある。ちょうどネオが映画の方で騒いでいる裏では、同じ時刻に別の一味も別の場所で騒いでいるわけで、これはまるで「リローデッド」の裏側を見ている感覚である。映画の世界の登場人物とゲームの世界の登場人物が出会うシーンは、映画の方もゲームの方も同じ映像が使われている。「エンター・ザ・マトリックス」ではモニカ・ベルッチが登場し、 ジェイダ・ピンケット・スミスと女同士でキス・シーン!をやったりもする。「レボリューションズ」は「エンター・ザ・マトリックス」をプレイしてやっとわかるという感じである。
 このゲーム、海の向こうでは最も有名なゲームメーカー、アタリ社が作っている。「マトリックス」といえば一番話題になったのは、なんといってもあの軌道が見える弾丸だ。あのゆっくり動く時間を、ゲームがどのように再現するのか、僕はそこに最も興味があった。ぜひともゲームの中でも弾よけを体験したかったからだ。開けてみると、これはスローモーションボタンを設置することで解決していた。スローモーションボタンを押すと、敵の動きや銃弾がゆっくりになるというわけ。このスローモーションボタンは万能で、これを押すと、様々なアクロバットアクションが可能になる。どれもオートマチックで、感覚的に操作できた。弾よけの他には、壁を走ったり、空中を一回転したり、映画と同じようなアクションが自分でコントロールできたのは素直に感動。エージェント・スミスがいっぱい出てくるところも映画そのまんまの雰囲気。よく作り込まれているなぁと感心したゲームだ。


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2005年11月4日