第6回「バイオハザード4」(テレビゲーム)

 人気シリーズ「バイオハザード」の「4」。僕個人的にはシリーズではそれまでのベストの出来栄えだったと評価する。これもかなり息が長いシリーズだが、カプコンの目玉商品として、今後もシリーズは次々と出ていきそうな感じだ。まだ「4作目」と思うかもしれないが、「バイオハザード/コード・ベロニカ」や「バイオハザード0」などもあり、初代「バイオハザード」に関しては後にゲームキューブで新しいゲームとして作り直しているため、シリーズ本数は相当な数があるはずだ。任天堂にとっては、カプコンが「バイオハザード」シリーズをプレステ2でなくゲームキューブで出していることにほくほくだろう。ゲームキューブは子供向けのハードと言われているが、「バイオハザード4」はバイオレンス満載の大人向けのアクションアドベンチャーゲームになっており、僕を含め、これだけが目的でゲームキューブを買った人も多い(ただし「バイオハザード5」はなぜかPS3とXBOX360での発売が決定している)。
 シリーズを通し、その雰囲気づくりには毎度感嘆させられる。暗い夜道。BGMを排除し、聞こえてくるのは、風の音と、たいまつの音だけ。どこか遠くで化け物の声がする。部屋を暗くしてプレイすると、本当に怖い。敵が出てくると、一転してまるでイタリアのプログレッシブ・ロックみたいなけたたましいサウンドが流れ出すが、これもまた「サスペリア」チックで怖い。ホラーの様式を徹底的に研究し、最も理想的な形でゲーム化している。
 カプコンのゲームの難点は主人公の操作方法であったが、ようやく「4」で改善され、主人公の視点にたった感覚的な操作ができるようになり、よりゲームの世界に同化できるようになった。それまでの「バイオハザード」シリーズと比べてシステムも大幅に変更されており、敵を狙い撃つ射撃ゲームとしての要素に重点がおかれている。「なんだ射撃ゲームかよ」と軽くみないでもらいたい。敵を狙い撃つことがこれほどスリリングだとは思わなかっただろう。とにかくこのスリルはゲームを実際にプレイして味わってもらいたい。近づいてくる化け物を早く狙い撃たなけれ自分がやられてしまうという焦りがなんともいえない恐怖感をかきたてるのだ。行き止まりに追いつめられたときは怖くて冷や汗が出てくるのだから、はっきりいってこれはそこら辺のホラー映画よりもよっぽどよくできている。やはりこれが自分で操作し、自分の視点に立ったゲームだからであろう。ゲームが映画よりも勝るものだとすれば、それは観賞者が主人公を演じること、そこに尽きる。
 ご存じのように「バイオハザード」は映画化されたが、映画とゲームとではずいぶんと雰囲気が異なっていた。映画「バイオハザード2」でゲームのキャラクターを登場させるなど、ゲームとの内容のすりあわせがあり、また、ゲーム「バイオハザード4」で映画のワンシーンを模したイベントを盛り込み、やっと映画とゲームを同一プロジェクトとしてタイアップできるまでになった様子である。ゲームの発売日と映画「バイオハザード2」の公開日をほぼ同じ日に調整したところからも、その意図がみえみえである。

バイオハザード4
▲バイオハザードといえば女主役のイメージが強いが、今回は主役を男一人に絞った。

バイオハザード4
▲以前と比べて操作性が格段に向上した。

バイオハザード4
▲今度の敵はゾンビではないが、道具を使うというところで、ゾンビ以上に怖い。

バイオハザード4
カプコン「バイオハザード4」
ゲームキューブ用ソフト

2005年11月7日