荒川良々さん、木村佳乃さん

『全然大丈夫』試写会
荒川良々さん、木村佳乃さんステージ挨拶

1月9日、新橋にて『全然大丈夫』のプレミア試写会が開かれ、主演の荒川良々さんと木村佳乃さんがステージ挨拶をしました。

この日は挨拶の前に映画の音楽を担当したハワイアン・バンド「エコモマイ」が出演。2本のウクレレ、ギター、ベースの演奏に観客が酔いしれました。

続いて荒川さんと木村さんが登壇。荒川さんは一言「あけましておめでとうございます」と言い、長い沈黙・・・。司会者に「え?それだけですか?」と言われてコクリとうなずいて、内気な性格を覗かせました。

お互いに共演者の印象を聞くと、荒川さんは下を向いたまま木村さんのことを「非常にお綺麗な方で、緊張しながらやらせていただきました」と謙虚に語りました。木村さんは荒川さんのことを「優しくて、場の空気を読めて、とても繊細な方だと思いました。私がダメだしを受けてめげていたときにも良々が励ましてくれて心強かったです」と語りました。木村さんは荒川さんのことを「良々」と呼び捨てにして、とても仲がよさそうでした。

司会者に「どんなときに憩いますか?」と質問されると、木村さんは「掃除をするとき」と意外な答えでしたが、荒川さんはゆるく「休んでいるときです」と答えて、それは当たり前だろ〜と内心思ったお客さんも多かったはず。

「今年の目標は?」という質問には、荒川さんは小さな声で「一日一日を大事に一生懸命生きていこうと思います」と答えました。木村さんからは「良々の2月の舞台に行きます」と、すぐにでも達成できそうな目標を掲げられてお客さんは大笑い。会場の空気が和みました。

映画の役とは裏腹に物静かな荒川さんと、明るい木村さん。一見釣り合わなそうな二人ですが、こうして並んでみると、こんなにもバランスがいいものかと思わせるステージ挨拶でした。

荒川良々さん
荒川良々さん(撮影・澤田)

木村佳乃さん
木村佳乃さん(撮影・澤田)

「全然大丈夫」ってこんな映画

 荒川良々さん、木村吉野さん、岡田義徳さんのトリプル「よし」が繰り広げるロマンチックコメディです。このタイトル、もろに日本語間違ってますけど、そこがいい。「全然」って普通は否定的な意味で使う言葉ですけど、それを肯定の意味で使ってるじゃないですか。この映画のテーマはそこなんです。幼稚でドジでお人好しな3人の主人公たちは30才一歩手前の年齢設定で、恋人いない歴30年になろうとしているところ。いわゆる負け組の人生を送っていまして、3人とも負のイメージがただよいまくっているのですが、それでも映画自体はとってもハッピーな気分にさせてくれる不思議な魅力のつまった映画なのです。ところどころでホラーな映像や変なテレビ番組の映像が挿入されたり、ちょっとシュールな感じがするところもこれのユニークなところですが、話そのものはしっかりと作られていて、マイナスなのになぜかプラスなイメージがするという正負両極が完全同居した唯一無二の傑作になっています。

 30才の男女たちの思春期映画ともいいましょうか。3人のその無邪気さがたまりません。悪く言えば幼稚なんですが、良く言えば純粋なんです。良い年して、お菓子を食べながら自主制作映画を作ったり、自分のやりたいことをやって生きるなんて、夢があって素敵じゃないですか。考え方がまるで中学生レベルなんです。この3人はあり得ないほど不器用な三角関係(もちろんプラトニックですが)になりますが、友達同士でドジな女の子を一緒に好きになるなんて、ほんと中学生みたいでしょ。でもそれでも仲良し。社会人になってから忘れてしまった、友情について考えさせられました。

 そもそもこの映画の企画は「荒川に似合う映画を作ってみよう」というところから来たそうです。役者が先にきて映画が出来るなんてすごいですけど、映画を見て納得。これは荒川さんだけにしかできない役ですね。

 とくに面白いのはセリフ。役者の演技も面白いですが、それ以上にセリフがよくできていますね。3人ともあまりかしこく生きてませんが、ときどき自分にも思い当たるようなことを言ったりして、ドキッとさせられたり。もう他人事じゃなくなってきます。

 見終わった後もずっと余韻が残りますし、まだ1月ですが、これは今年の一番のオススメ映画かもしれませんよ。(2008/1/9)

公式サイト『全然大丈夫』
2008年1月26日(土)よりシネクイントほか全国順次ロードショー