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久しぶりに感性を刺激される映画を見たという感じがした。ストーリーはちゃんと筋が通っているが、ワンシーンワンシーン単体で見ると何やら摩訶不思議。ほとんど抽象的に描いているため、いくらでも観客が自由に解釈できるようになっている。ダムの底から吹き上がるバブルリングや、光を透き通すレンズの映像など鮮烈なイメージを刻み込む。ファンタジックなようで現実。描かれる出来事のひとつひとつを直感で受け入れていくのが作品を楽しむコツだ。ガラス職人がガラスをお尻で磨くあたり、ちょっとヘンだけど、なんだか妙に共感。本作でスクリーン・デビューした稲荷卓央も見事な人材だ。
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演劇人たちが集まり、出演者は演劇的に演じたという。また監督も演劇を意識したといっているが、カメラの撮り方といい編集といい、くどいほどに映画的な作品だった。つまり演劇人たちによる、その映画的なくどさを受け入れられるか否かだ。また、アンダーグラウンドということで、登場人物に不可解な行動が目立ち、倒錯的といえる場面もあり、普通の映画に慣れている人には拒否反応があるかもしれない。俳優たちの聞き取りづらい喋り方には賛否両論があると思うが、そういう声の質感なども含めて、映画の雰囲気、ユニークな小道具の数々、その世界観にどっぷりと浸かるべきだろう。 |
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