巨匠の歴史
 第6回

フランコ・ゼフィレッリ
新感覚シェイクスピア映画作家

フランコ・ゼフィレッリ
Franco Zeffirelli
(1923〜)
  ●もともとはイタリアの舞台監督
 フランコ・ゼフィレッリは、若くしてルキノ・ヴィスコンティの劇団に入団し、装置係りを担当、やがてイタリア一の装置家となり、オペラも数え切れないほど演出する。ヴィスコンティの助手ともなり、映画「夏の嵐」(53)などを手伝うが、まだ名前は売れていなかった。

●「ロミオとジュリエット」にオリビエが惚れた
 彼の名声が世界的なものになるのは、60年の舞台劇「ロミオとジュリエット」を演出してからである。彼の演劇は、いまだかつてなかった新感覚のシェイクスピア劇であり、古典的な演出を打破したものであった。英国一のシェイクスピア俳優ローレンス・オリビエはその劇を見て感激し、「新しい創意をもった若々しい演出家」だとゼフィレッリを絶賛した。
 やがてゼフィレッリは映画監督も担当するようになり、シェイクスピアの喜劇「じゃじゃ馬ならし」で好評を博した後、例の「ロミオとジュリエット」を映像化した。
 この映画はローレンス・オリビエの応援もあり、オリビア・ハッセーを主演に置き、ニーノ・ロータの美しいテーマ音楽を使って、フレッシュな青春ドラマとして完成させれている。それは「ロミオとジュリエット」映画の極めつきといっても過言ではなかった。

●現在も文芸大作を次々発表中
 ゼフィレッリは今も現役バリバリで、文芸大作を中心に頑張っている。やはりシェイクスピアに拘っているようで、「オテロ」「ハムレット」も演出した。
 宗教にも興味があり、聖人の青春ドラマ「ブラザー・サン シスター・ムーン」は名作である。近年は「尼僧の恋」でメガホンを取った。
 個人的に好きな映画は「チャンプ」。ボクサーのお父さんとその息子の交流を描いた涙の傑作だ。実はリメイク映画だが、出来映えはオリジナルを凌ぐ。
ロミオとジュリエット

フィルモグラフィ

67 じゃじゃ馬ならし
68 ロミオとジュリエット
72 ブラザー・サン シスター・ムーン
79 チャンプ
81 エンドレス・ラブ
82 トラヴィアータ ー1985・椿姫ー
87 オテロ
88 トスカニーニ 〜愛と情熱の日々〜
90 ハムレット
93 尼僧の恋 マリアの涙
96 ジェイン・エア
99 ムッソリーニとお茶を
02 永遠のマリア・カラス
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