八つ墓村

★★1/2

<日本/1996年/サスペンス>
監督・脚本:市川崑/原作:横溝正史
脚本:大藪郁子/撮影:五十畑幸勇/音楽:谷川賢作
出演:豊川悦司、浅野ゆう子、高橋和也、宅麻伸、岸田今日子、
岸辺一徳、萬田久子、喜多嶋舞、加藤武、うじきつよし、井川比佐志、
白石加代子、神山繁、吉田日出子、石倉三郎、石橋蓮司
(3月25日夜9時 フジテレビ系列で放送)

ネタをあかしています。

●市川監督再び
 何かと人気の高い金田一ワールド。ここ最近、日本ではまたミステリー系が人気を高めてきた感じがする。金田一の世界は、横溝正史が作り出したものだが、この人とくれば、市川崑監督。これまでに何度も横溝小説を映画化してきた市川監督が、再び金田一ワールドに着手した。
 市川監督は、日本の有名小説を沢山映画化してきた職人だが、彼の作品には、いい作品と悪い作品の上下差がかなりあるってのが玉に瑕。「八つ墓村」は、残念ながら、彼としては下の作品に入るだろう。

 

●奇怪な殺人事件続出。はたして祟りか。
 今回の事件は、八つ墓村で、次々と奇怪な殺人が起こるというもの。はたして祟りの仕業かと思っていると、金田一探偵の登場。なんだかめちゃくちゃかっこいい金田一が現れた。で、もちろん謎を解いてしまうわけだが、事件はパッとしないし、犯人の動機も大したことないので、ストーリーに説得力がなく、少しずつ謎を解いていく過程にも面白みがないのである。「え、もう終わり。あ、そう。だからどうした」みたいな感じだ。惨殺シーンも血が飛び出るだけで味気ない。
 また、ストーリー以上にどうにかしてほしいのが、出演者の存在。豪華なのは嬉しいが、豊川悦司以外の皆さんは演技が冴えない。目つきなどは蝋人形のようで、瞳にリアリティを感じない。
 市川監督の場合、出演者の演技は大して重要じゃないのかもしれない。大事なのは画的に映像や雰囲気にとけ込んでいるかどうかということだろう。岸田今日子とかは演技はどうでもよかったが、画的には最高である。

 

最後に一言:頭がかゆくなるようなミステリー

(第7号 「新作映画辛口批判」掲載)


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