トイ・ストーリー2
Toy Story 2
★★★★
<アメリカ/1999年/コメディ>
監督:ジョン・ラセッター
出演:トム・ハンクス、ティム・アレン、ジョーン・キューザック
ストーリーのネタはあかしていませんが、作風のネタはあかしています。
●前作に勝るとも劣らぬ傑作
「トイ・ストーリー」には驚いた。実写映画以上に立体感のあるリアルな映像には本当にたまげた。
「2」が作られるときいたときには、正直「やめてくれ! 1の神聖さが腐れる!」と吼えてしまったが、ところが見に行ってみると、感動して何度も泣きそうになった。これは「1」を凌ぐ大傑作である。
技術的にも「1」以上に進歩しており、開巻のスピーディな一大アドベンチャー映像には何度も鳥肌がたった。少年時代のロマンが蘇って興奮した。
僕は、この映画を見ていて、これがすべてCGで作られている映像だということを、完全に忘れてしまった。ほんとうにおもちゃが動いていると感じてしまったのだ。僕らが見ていないところで、おもちゃたちが会話している・・・。なんてメルヘンチックなんだ。その感動は「1」と同じだが、「1」以上に、おもちゃたちがご主人様から愛されることを生き甲斐にしている様が描かれており、その様子には、思わず涙がこぼれてしまう。
子供心を少しでも覚えている人間なら、間違いなくこの映画に感動するであろう。昔僕らがよくやった、ごっこ遊びの、あの楽しさと同じ楽しさがこの映画にはある。
●ギャグに重なるギャグ
ディズニーのアニメ映画は、どうしてかギャグ・センスが素晴らしい。
この映画でも、ギャグが次から次へと吹き出てくるのだが、ただギャグを羅列させているのではなく、ひとつひとつのギャグに意味を持たせていることを高く評価したい。
意味があるからこそ、ギャグの上にギャグを重ねて、テンポのいいスピーディなコミック・シーンを作り出せたのだし、ギャグの中にサスペンスをスパイスすることもできた。だから、2つの事件が同時進行していく様も実に巧妙な手口で描けているのだ。
今回はパロディに走っている嫌いもあったが、何しろターゲットが大古典の「スター・ウォーズ」だったので、観客も馬鹿受けである。
最後に一言:今春一番の感動の傑作。ぜひ大画面で!
(第9号 「新作映画辛口批判」掲載)