デッドヒート
Thunderbolt

★★★1/2

<香港/1995年/アクション>
製作:チャイ・ラン/監督・脚本:ゴードン・チャン
脚本:チャン・ヘンガー、コッ・ワイチョン/音楽:リョン・ボーイン
出演:ジャッキー・チェン、アニタ・ユン、トースティン・ニッケル、加山雄三

ネタをあかしています。

●ジャッキーがカーアクションに挑戦
 ジャッキー・チェンの映画は、外れがなく、どれも快感といっていい面白さがあるが、この「デッドヒート」は従来のジャッキーの魅力を残したまま、カー・アクションという新しい見せ場を盛り込んで、たのもしい一本である。
 誘拐された人のために戦うドラマだが、この誘拐された人物というのが、恋人ではなく、妹という所が面白い。この映画ではジャッキーに恋人はおらず、そのかわりジャッキーを追っかけつつも、しだいに好きになっていくTVリポーターの女の子が出てくる。わざとらしくならない感じに軽〜く純愛物語を含ませているところがうまい。2人が結ばれるラストシーンも爽やか。

  

●アクションこそ至高のものだと見せる見せる!
 ジャッキー映画のアクションは、視覚に訴える、かなりの古典派である。肉体的なアクションが多いが、それを美として崇めるように長々とみせ、僕らをトリップ状態にさせてくれる。
 今回もフィルムの回転速度を速めたり遅めたり、色々と効果を入れて、ド派手な破壊力をまじまじと見せつけている。家が壊されていく様子も、これでもかというくらいガラスの破片や木片を大袈裟に飛び散らせて、そんな中ジャッキーがウルトラCのアクロバットを披露してくれるんだから、サーカスにも似た楽しさを覚える。
 格闘も思う存分やってくれるが、見慣れたシーンばかりなのに、これがなぜかくどくない。見ていてスカッとするから不思議である。小さな隙間を豪快に通り抜けたり、そういう嘘っぽい娯楽的興奮が、視覚重視のアメリカン・ヒーローの血筋を引き継いでいる。延々と格闘してても面白いのではないかと思えてくる。

   

最後に一言:まさしくハマっちゃう映画

(第14号 「新作映画辛口批判」掲載)


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