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太陽のとどかぬ世界
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SFではない本当の世界 この映画が面白いのは、見る映像すべてが未知のものだからである。公開当時(64年)は本当に驚異的映像に見えたに違いない。というより、今見てもこの映像は新鮮である。 海底に3LDKほどの基地(というよりは家)を建て、その中で人間たちが生活している。基地の中には、学者だけでなく、コックもいれば理髪師もいる。リビングでは日光浴ならぬ紫外線浴をしながら読書したり、日記を書いたりして楽しんでいる。重力は2倍、気圧も2倍、ヘリウムのせいで声の高さも2倍になっている。まさにその生活している様子は、SF映画を見ているような気さえ覚えるが、これが現実だと思うと、もう感動で胸がいっぱいになる。また、隊員たちがたくさんの不思議な海底生物と出会うところも見逃せない。彼らにとっては毎日が未知との遭遇である。 ラストでは、クストーが自作の小型探査機に乗って、更に深海へと深く深く潜っていく。真っ暗闇の中、頼りは探査機のライトのみ。そして彼らが最後にいきついたところは、深海の洞窟の中に見つけたエアポケットだった。ハッチを開け、探査機から出て空気の味を噛みしめる隊員の感動。これはもう冒険好きの男たちにはたまらない映像体験だ。 |
(第63号 「名作一本」掲載)