スチュアート・リトル
Stuart Little
★★★1/2
<アメリカ/2000年/コメディ>
監督:ロブ・ミンコフ/音楽:アラン・シルベストリ
出演:マイケル・J・フォックス、ジーナ・デイビス
ストーリーのネタはあかしていませんが、作風のネタはあかしています。
●鼠が人と会話するのってシュールかも
この映画は面白い。養子をもらおうと、孤児センターに来た夫婦が、そこで見つけた喋る鼠を家族の一員として迎える。ここまでの展開は実にストレートであっさりとしていて心地よい。
周りの人たちは、この夫婦が鼠を養子にしたことには驚いているものの、鼠が喋ることには全く驚いておらず、この映画の世界ではどうやら鼠が喋って当然のものなのらしい。当たり前のように鼠は人間と会話をし、当たり前のように服を着替える。それはまるで漫画のような気持ちよさである。ただこれは実写なので、それもちょっぴりシュールな感覚がしてくるが、そこが面白い。
●何と可愛らしいキャラクターかこの鼠くん、まず間違いなくハマってしまう。仕草や表情が最高に可愛いし、僕は最初は幼稚園児みたいな声で喋るものかと思っていたが、ところが実際はかっこいい青年声で喋ってくれた。性格も優しく、純粋で、見ていて断然嬉しくなってくる。
またCGの映像も素晴らしく、おもわずなでなでしたくなるような毛並みの細かさにも注目してもらいたい。
●猫たちがサイコー
鼠くん以上の儲け役が猫くんたち。あの無表情のまま啖呵を切ったように喋りまくるところは、笑いなしには見られない。あの無表情で思い切り困った口をきいたり、喧嘩をうってきたり、猫独特のマイペースなゴロニャン動作はそのままに、声だけが変に人間チックだ。猫同士でちょっとしたコミック・シーンも幾度と披露しているが、これがとにかく愉快。野良猫界のドンも登場するが、こいつがハードボイルド・タッチで一番面白く、その猫の顔をドアップで捉えるところなど、「らしい演出」には思わずプッと噴き出してしまう。
●チビ・スペクタクル
見せ場たっぷりである。おもちゃのヨットの競争シーンや、おもちゃの車で猫から逃げるカースタント・シーンなど、セットは縮小されているが、アクションのスケールは大きく、おもちゃながらに気合いが入っている。下水道も鼠くんにとっては大滝に見えたりするから、なかなかスリルがある。
それと、おもちゃの車に乗っている鼠くんを人間の目線の高さから撮った映像がときたま挿入されることがあるが、そのときのフレームに対する車の小ささが妙に愛らしい。「それゆけ」と応援したくなってしまう。
最後に一言:家族そろってみんな笑顔になっちゃいそう
(第25号 「新作映画辛口批判」掲載)