シックス・センス
The Sixth Sense
★★★1/2
<1999年/アメリカ/ホラー>
製作:フランク・マーシャル、キャスリーン・ケネディ、バリー・メンデル
監督・脚本:M・ナイト・シャマラン
撮影:タク・フジモト/音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
ネタばらしはしておりませんが、全くの予備知識なしでご覧になることを強くお薦めします。
●興行成績第2位 「スクリーン」読者選出・ベスト1「シックス・センス」は予想をはるかに上回る大ヒットである。まさしくロング・ラン。今でも観客の足は途絶えることなく、評判がいいが、これが全米では99年度興行成績第2位にランクされた! さすがに1位の「スター・ウォーズ エピソード1」は追いつけなかったが、地味な映画なのに、2位とはびっくりである。
毎年「スクリーン」誌の4月号では、読者の選ぶ人気映画のランク付けが行われるが、これの1位になったのは「シックス・センス」であった。いかにもインテリな読者の多い「スクリーン」ならではの結果である。
●「あっと驚くエンディング」がポイントこの映画のポイントは「あっと驚くエンディング」。それがロング・ランの所以なのではないか。とにかく「この映画の秘密は言わないでください」という文句が一般ピープルを引きつけ、アルフレッド・ヒッチコックの傑作ホラー「サイコ」のパターンを再現したかのような大成功となった。
●古典的と言える演出と現代のセンス「シックス・センス」はホラー映画であるが、この恐怖描写の仕掛けが、大変格調高く、古典的といえる。それが現代的センスで描かれており、新鮮な恐怖を味わえる。子供の頃、トイレに行くのが怖かったあの記憶がよみがえる描写である。
後半からは、突如恐怖描写が直接的になってくるが、本作では”音”の効果が絶妙である。カメラも長回しにするなど工夫し、パン(カメラの首を横に振る)を活用しての突如現れるホラー・ショットは見物である。
カメラ・アングルもあきらかに”静”の角度であり、派手なカッティングはまるでない。
ホラー映画なのに、どこか芸術映画を見た気分にさせるのも、その古典的なカメラとサウンド・テクニックゆえだ。
また、フィラデルフィアの古風な町並みも、ゴシック感を出すことに一役かっている。
●ヒューマン・ドラマとしての見応え「シックス・センス」が大ヒットし、人気を勝ち取った理由は、これが単なるホラーではないからである。この映画には一粒の涙を誘うヒューマン・ドラマ的な要素が、ほどよくスパイスされている。主人公がトラウマを克服していくという内容がそれで、しんみりと描いており、それが、この映画を愛すべきものにしたのだ。
だからこの映画は名作的風格を持ったわけだが、それを確固たるものにするのがエンディングである。ただでも良くできたこの作品を、不朽のものとした、あまりにも衝撃的な秘密がラストに用意されてある。
怖がるだけ怖がったあと、ほろりと泣いてしまう名作なのだ。
最後に一言:99年で最も怖かった映画
(第2号 「新作映画辛口批判」掲載)