スクリーマーズ
Screamers

★★★1/2

【R指定】
<アメリカ・カナダ・日本/1996年/108分/SF>
製作:トム・ベリー、フランコ・パティスタ
監督:クリスチャン・デュゲイ/原作:フィリップ・K・ディック
脚本:ダン・オバノン、ミゲル・テファダ・フローレス
撮影:ロドニー・ギボンズ/音楽:ノルマンド・コーベイル
出演:ピーター・ウェラー、ロイ・デュプス、ジェニファー・ルービン

注意:ネタをあかしています。

●ごくありふれたロボット叛乱映画だが
 本作は、フィリップ・K・ディックの「変種第2号」を映画化したものである。西暦2078年、防御兵器として開発したマシーン”スクリーマーズ”が、人間に叛乱を起こし、自己修復機能により、自らを進化させ、人間そっくりのロボットとなって、突如襲いかかる。
 骨組みのストーリーはありきたりだが、世界観の描写力が優れており、なかなか楽しめる一本だ。ディックの映画は代表的なものに「ブレードランナー」があるが、あちらと同じく、人造人間というものの位置づけが興味深く、SF的な世界構築が哲学的で、神秘的な感覚がある。娯楽的には「ブレードランナー」よりもこちらの方が楽しめるので、初心者には入りやすいかもしれない。 

 

●誰がロボットなのかわからない恐怖
 この映画はホラー映画である。怖い映画である。
 スクリーマーズ第1号は、目の前にいる人間全てに襲いかかり、切り刻んで殺す。この殺し方が残酷きわまりない。また恐ろしく敏捷度が高いので、そのスピード感だけで恐怖度が増している。
 スクリーマーズ第3号は、子供に成りすましたロボットである。この子供の群がいっせいにゲートから現れ、ゆっくりと人間たちを追いつめていくシーンの視覚的な恐ろしさは、見てみなければわからないものがある。
 スクリーマーズ第2号は、全く得体が知れず、主人公ピーター・ウェラーは、誰がロボットなのか見分けがつかない。仲間さえ信用できなくなるのだが、360度どちらにも背を向けられないところが、ちょっとしたサスペンスとなる。

 

●心に残るラストシーン?
 ラストシーンは意外である。原作とは内容が異なるが、ロボットに愛を持たせたところがハリウッドらしい作りである。
 しかし、あの秘密基地にどうしてロボットが進入してきたのか、考えると変だし、強引ともいえる展開が多少気になってきた。清々しいラストの後の本当のラストは、ビジュアル感が素晴らしいが、何とも後味が悪い・・・。

 

最後に一言:ロボコップだけがロボットじゃなかったなんて・・・

(第15号 「新作映画辛口批判」掲載)


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