セイント
The Saint

★★★1/2

【R指定】
<アメリカ/1997年/116分/サスペンス>
監督:フィリップ・ノイス
脚本:ジョナサン・ヘンズレイ、ウェズリー・ストリック
撮影:フィル・ミュークス/音楽:グレアム・レベル
出演:ヴァル・キルマー、エリザベス・シュー
(4月9日夜9時 テレビ朝日系列で放送)

ストーリーのネタはあかしていませんが、作風のネタはあかしています。

●ヴァル・キルマーが怪盗に扮する
 ヴァル・キルマーは変わった役が多い。「ドアーズ」ではジム・モリスンを演じたし、「バットマン フォーエヴァー」ではバットマンにも挑戦した。ところがどうだ。この作品では、12人の聖人の名前を使い分けて、変装また変装で、世界中を股にかける大怪盗に扮した。
 マスクを付けて変装するのでなく、付け髭などのオーソドックスな小道具しか使わないで、もっぱら表情だけで別人を装っており、楽しい。

 

●狙われる女科学者とうっかり恋に落ちる・・・
 この映画で盗まれるものは、宝石ではない。科学者の考えた方程式である。
 「リービング・ラスベガス」で急に出演依頼が殺到するようになったエリザベス・シュー(何を隠そう僕が最初に熱をあげた女優である)が、まだ恋愛を知らない、愛らしいほど無垢な天才科学者を演じているが、彼女も益々印象が良くなってきているようだ。
 科学者は、怪盗セイントと恋に落ちるが、彼とキスしようとしても、どうしていいのか分からず、あたふたする様が面白く、このサスペンスにちょっとした微笑みをプレゼントしてくれている。

 

●事件の規模がとにかくでかい
 方程式をめぐっての犯罪だからといって、軽くみてもらっては困る。お国が絡んで、かなりばかでかい事件に発展し、怪盗セイントも美人科学者もどこにも逃げられないような大ピンチに追い込まれてしまうのだ。相手は邪魔する者は容赦なく殺す大悪党だ。さあどうする・・・という緊張感を味わわせつつ、怪盗セイントが持ち前の頓知で次々と危機を脱出していく様が、ユニークで見応え結構。
 後半はモスクワが舞台だが、地形効果も存分に発揮している。

 

最後に一言:聖闘士星矢には勝てんです

(第9号 「新作映画辛口批判」掲載)



ホームへ