リング

★★★★

<日本/1998年/95分/ホラー>
監督:中田秀夫/原作:鈴木光司/出演:松嶋菜々子

 

●肝試し風のおどかし
 ひょっとすると日本の古典怪談の焼き直しという感じがしないでもないが、それが成功点となっている。よく学校では、どう考えても強引な怖い噂話が飛び交うものだが、それをさも真面目に描いたのがこの映画だ。だからもうほんとに怖い。
 構成は探偵映画風の作りであるが、緊張感たっぷりで、突然生理的に恐怖を与える映像を挿入している所が功を奏している。テレビドラマと違い、映画作品の音響では声の通りが悪くなるが、そのせいで、我々はテレビのボリュームを上げずにいられない。ところがこの映画では、どうやら効果音は通常よりも高いdBで録音しているようで、ゆえにちょっとした電話の音でもドキッと驚いてしまう。ここら辺が肝試しっぽい趣向でとてもいい。

  

●幼稚なようで幼稚じゃない
 ホラーの恐怖要素であるモンスターやナイフは無視し、ビデオテープに材を取ったのは、何とも未来的なアイデア。超能力者が怨念となってビデオテープにのりうつるところなど、多少幼稚な気がしないでもないが、冷静に考えれば、この発想力は大した物である。むしろ深刻な雰囲気で描いているから幼稚とは思わせない。
 後半になると、日本幽霊の変形体といえる化け物が登場するが、顔が髪の毛で隠れている。そこが得体の知れない恐怖をかきたてる。実にうまい作品である。

(第39号 「新作映画辛口批判」掲載)



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