ハムナプトラ
失われた砂漠の都
The Mummy
★★★★1/2
<アメリカ/1999年/ホラー>
監督・脚本:スティーブン・ソマーズ
音楽:ジェリー・ゴールドスミス/出演:ブレンダン・フレイザー
●古典ホラー・フタタビ
90年代は古典ホラーの復活で賑わった傾向がある。「ドラキュラ」も「フランケンシュタイン」もリメイクされ、ついに「ミイラ再生」もここに蘇った。もちろん90年代らしく特撮が急進歩して復活している。オリジナル版ではボリス・カーロフのロマンチックな演技が重点となっていたが、この新版ではとにかくCG映像が見所。おぞましい姿のミイラたちが大いに暴れまくって、目の肥えた現代の子供たちにとっても恐ろしい映像が次々と展開される。
あれだけ沢山のミイラが出てくると、その光景を見ているだけでもSFキチガイの僕は感動してしまった。
●この映画は子供たちの夢だ
同作は、娯楽アクションとしてもすぐれており、往年の冒険活劇のアドベンチャー要素が満載である。主人公が剣でミイラたちと戦うシーンなどは「アルゴ探検隊の大冒険」ばりの懐かしい興奮を与えてくれる。
ハムナプトラの遺跡は、さながらお化け屋敷の趣だが、その奥へ奥へと入り込んで、仲間が犠牲になりながらも次々と危機を脱していく展開は、テレビゲームの冒険ものを地でいくもので、演出のひとつひとつはまさしく子供たちの憧れである。英雄伝である。その夢を体感することができるというだけでも、この映画はとてつもなく価値が大きい。
●ほんと最初から最後まで凝りに凝っていて嬉しいなぁ
この映画はほんとうに泣かせる。僕も嬉しいぞ。CGも凄い、恐怖描写も迫力、ストーリーも痛快冒険活劇みたいで面白い、三拍子そろった傑作であるが、細かい描写もまたよくできてるんだな、これが。ほとんどは特撮のなせるワザだが、タイミングがバッチリだし、ほんとうにびっくりする。ミイラ男が次々と探検隊たちの生気を吸い取っていく過程もとても丹念に描かれており、緊張感が持続している。映像で見せずに音で見せたりするあたりも凝っているし、次々と探検隊の生気を吸い取っていくシーンも同じ見せ方は使わずに、毎度アイデアを変えていて、ユニークである。
もうこれはハリウッドの黄金時代を思い出させるオススメの娯楽大作だ。
最後に一言:ミイラにも苦手なものはあったのね
(第27号 「新作映画辛口批判」掲載)