ロスト・イン・スペース
Lost in Space

★★★1/2

<アメリカ/1998年/131分/SF>
監督:スチーブン・ホプキンス
出演:ウィリアム・ハート、マット・ルブランク、
ゲーリー・オールドマン、ジャック・ジョンソン

ストーリーのネタはあかしていませんが、作風のネタはあかしています。

●恥ずかしいくらい古いSFを大マジにやっちゃった
 「ロスト・イン・スペース」。嬉しい映画である。昔子供の頃にみた連続SFテレビ映画を思わせる出来映えだ。内容もいたって簡単。子供にも楽しめる映画である。
 しかし作風が古くさく、60年代のSFを大真面目にやっちゃってる感じがする。そこが我々SFファンのハートを揺さぶる。従順なロボット(こいつのデザインがまた最強に古くさくて涙がでる)に、不気味な宇宙ペットも登場、悪役や、きざな青年も出てきて、レーザー光線で対決したりもする。そんな、昔ながらのSFロマンに溢れた、古典スタイルの作品だ。
 主人公のあの顎髭もまたそれっぽくていいし、ラストもいかにもって感じだ。

 

●意外ときちんとしたシナリオだ
 もとは名作「スイス・ファミリー・ロビンソン」が原点なのだろうが、テレビシリーズぽい作りなので、作品もエピソード単位で構成されている感じである。だから”危機一髪→そして生還”という王道のスタイルが何度も見られて、やはりSFマニアである僕は俄然嬉しくなった。それだけでも、今回の評価は多目につけたくなった。
 一見エピソードの羅列にも思えそうだが、実は伏線がばりばり張ってあり、よくできている。多少ストーリーをでかくして、哲学的な怖さを持たせたところが、子供にはわかりにくくなったような気がしないでもないが、そこら辺は、親子愛を描く筋道として、大人向けのエピソードとして、素直に受け入れるべきだろう。

 

●なんかこの映画の悪役は妙に立場が弱い・・・
 ゲーリー・オールドマン。なんだかこういう悪役が多い気もするが、なんかこの映画の彼の役、妙に立場が弱っちい。ねずみ男みたいなトラブル・メーカーというか何というか。とにかく、6人の精鋭乗組員の間に、うっかりお邪魔してしまった情っけない悪役だから、こそこそとしか動けない。彼のその弱々しさは見所のひとつかも(笑)。ストーリーが加速する後半では、悪役も益々やばくなってしまうが、そのやばさが、これまた懐かしのSFを思わせてしまうから嬉しい。

 

最後に一言:今時ここまで古くさいSFを作った度胸に乾杯

(第9号 「新作映画辛口批判」掲載)


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