激流
The River Wild
★★★★
<アメリカ/1994年/112分/サスペンス>
製作:デビッド・フォスター、ローレンス・ターマン
監督:カーティス・ハンソン/脚本:デニス・オニール
撮影:ロバート・エルスウィット/音楽:ジェリー・ゴールドスミス
出演:メリル・ストリープ、デビッド・ストラザーン、
ケビン・ベーコン、ジョゼフ・マゼロ
注意:ネタをあかしています。
●嫌悪感のないユニークなサスペンス
僕は大のサスペンス好きだが、この作品には興奮させてもらった。
他のサスペンス映画にありがちなアスファルトの世界とは無縁の、大自然を背景にした川下り犯罪サスペンス。
あまりに自然が明るく、壮観なので、血を連想させず、それでいて逃げ場のない閉ざされた緊張感がたっぷりある。
小道具も細かく、それぞれがフル活用されている。また、主要登場人物をたったの5人にしぼったことで、キャラクターが生き、感情移入がしやすくなり、5人の息詰まる知恵比べを存分に楽しむことができるようになった。
後半では水しぶきの演出がダイナミックな川下りのアクションもあり、全体的に満足度高し。
●親子の絆
この映画は、仲のこじれた夫婦が、人質になったことで、お互い助け合い、2人に再び深い愛が戻るという美しいストーリーが描かれている。夫婦役のメリル・ストリープとデビッド・ストラザーンはなかなか表情がいい。天才子役のジョゼフ・マゼロくんの存在も大きいだろう。この映画がR指定にならず、PG−13指定にとどまったのも、テーマが純粋だったからかもしれない。犯罪者役もとことん悪賢く描いてはいるが、暴力性を薄くしていることにも注目だ。
最後に一言:生存率10万分の1とは大袈裟な・・・
(第16号 「新作映画辛口批判」掲載)