フェイス/オフ
Face/Off
★★★★
この映画はR指定です
<アメリカ/1997年/138分/アクション>
監督:ジョン・ウー/脚本:マイク・ワープ、マイケル・コラーリー
撮影:オリヴァー・ウッド/音楽:ジョン・パウエル
出演:ジョン・トラボルタ、ニコラス・ケイジ、
ジョアン・アレン、アレッサンドロ・ニボーロ、
ジーナ・ガーション、ニック・カサヴェテス、ドミニク・スウェイン
ネタをあかしています。
●主人公と悪役の顔が入れ替わる強烈なるアイデア
いまだかつてこのような映画があったか。何と正義役と悪役の顔が入れ替わるのである。主人公は自分の顔をした悪党を相手に戦わねばならない上に、自分が世間から悪党と思われてしまうのである。もちろん周囲の人間は顔が入れ替わったことなど知るよしもないのだから。
だからこそ、主人公のどうしようもないシチュエーションがひしひしと伝わってくる。展開はしだいにエスカレートしていき、我々観客は、これからどうすれば助かるのだろうと、そこら辺に興味がわいてやまない。
この奇抜なアイデアを発見したことは、フィルムメーカーにとっては美味しすぎた。全ての展開が新鮮に見えてくるのである。主人公の娘がどちらの男が本当のパパか戸惑うシーンなども、簡単に演出することができたのだし、相変わらずの美学的銃撃シーンにもメンタルな味付けを付加することができたのだ。
●銃撃戦だけじゃ物足りないから、派手に行こうぜ
ジョン・ウー監督は、ゾクゾクするよなアクション描写については近年最も長けた人物であると言えよう。特に銃撃シーンについては美学的ともいってよく(しばしば鳩をアクションの指標記号に使っているようだ)、明らかに「ありえない」といいたくなるような派手なとっくみあいが見物である。銃撃戦の他にもスピーディなアクション・シーンを作らせても手腕を発揮している。「フェイス/オフ」は娯楽精神いっぱいの美学アクションの宝庫であり、見せ場も複数用意していて、長目の上映時間も意識させない。クライマックスの海上でのボート・アクションを見たときには、従来のアクション映画は何だったんだろうと、ちっぽけに思えてくるだろう。それだけこの映画の迫力は大きかった。
最後に一言:トラボルタとケイジ、どっちを悪役と言えばいいんだ?
(第27号 「新作映画辛口批判」掲載)