マーズ・アタック!
Mars Attacks!
★★★
<アメリカ/1996年/SF>
製作・監督:ティム・バートン/脚本:ジョナサン・ジェムズ
撮影:ピーター・サスチスキー/音楽:ダニー・エルフマン
出演:ジャック・ニコルソン、シルビア・シドニー、ロッド・スタイガー、
グレン・クローズ、アネット・ベニング、ピアース・ブロスナン、
ダニー・デヴィート、マーチン・ショート、サラ・ジェシカ・パーカー、
マイケル・J・フォックス、ルーカス・ハース、ナタリー・ポートマン、
パム・グリアー、ポール・ウィンフィールド、バーベット・シュローダー、
リサ・マリー、ジム・ブラウン、トム・ジョーンズ
ネタをあかしています。
●強烈な低俗映画
ティム・バートンは、恐らく最もマニアックな映画監督だろう。この悪のりの凄さときたら、強烈である。日本でいえば「ゴジラ」的なノリになると思うのだが、バートンは恐らく「ゴジラ」のセンスを参考にしつつ、50年代のB級SFホラーをキッチュなスタイルで現代に映像化した。 グロテスクな宇宙人が登場し、ただとにかく地球人を殺していくこの光景は、まさしく50年代SFを愛してきた人たちへのサービスである。宇宙人の鳴き声、UFOの外見、巨大ロボット、などなど、懐かしい映像てんこもりだ。次々と宇宙人が宇宙服を装着して出動していくシーンもあったが、僕は思わず噴き出してしまった。音楽も50年代的である。
●最高に贅沢なキャスティング
これだけ低俗な映画を作っていながら、キャスティングはかなり凄い。トップ・スターたちが、ちょい役で登場し、あっけなくレーザーガンで灰になっちゃうこの贅沢さ。ロッド・スタイガーら、大御所が出ているところも嬉しい。それにしても、一番の儲け役はピアース・ブロスナンとサラ・ジェシカ・パーカーだ。あの2人の演技、どう見ても50年代のスタイル。で、首だけになっちゃっても、ラブラブモードに入るあのハマリ具合。笑えるとかそういうのじゃなくて、何だか嬉しくなる。あともう一人、謎の女リサ・マリーも50年代のセクシー女優そのままの魅力でたまらん。
あまりにもバカらしい映画を、贅沢にやっちゃったということで、評価はわずかながらあげておく。
最後に一言:ジョニー・デップはでないのか!?
(第10号 「新作映画辛口批判」掲載)