企画4
R指定映画の知られざる真実
突然ですが、皆さん、R指定について深く考えたことがありますか?
ここ最近、少年犯罪のニュースを耳にしますが、「少年たちをそうさせた原因が、実は映画にあった」というケースも多かったです。日本では、子供たちは簡単にアクション映画、ホラー映画を見ることができます。これは日本が治安がいいからなのだと思いますが、実は、海外では子供たちの見る映画は厳しく限定されているのです!
そこで今回の特集では、みんなの知らない【R指定】についての真実をお教えしましょう。
君知ってる? 君が昨日見た映画はR指定なんだよ |
ズバリ言ってしまえば、あなたが見た映画のほとんどはR指定である。「うそぉ!」って言いたくなるかもしれないけど、よーく考えてご覧。あなたが昨日見た映画だけど、中高生に見せたいって思った? 男たちのドンパチ・シーンや、血みどろのホラー、濃厚なベッド・シーン、難しい政治論などなど、冷静に考えてみなよ。子供に薦めようなんて思わないだろ。少しでもそう思うシーンがあったなら、実はそれはR指定なんだね。 |
暴力・血しぶき・飲酒喫煙・反社会・etc...該当するのがあればR指定 |
日本人ってさ、エッチな映画だけがR指定だという考えを持ってるんだよね。でもエッチな映画でも非人道的なシーンが全くなければ、R指定にはならない。問題はやっぱり暴力的なシーンがあるかどうかがポイントだね。アクション映画とホラー映画には、暴力は付き物だから、ほとんど9割方の作品がR指定になっちゃうんだ。ヒューマン・ドラマでも、政治的な映画や、タバコを子供が吸うシーンとかがあったりしたら、引っかかっちゃうんだよ。日本のアニメなんかは、暴力描写や倫理的にどうかと思うシーンばかりだよね。だから海外ではR指定になったものも割とあるんだ。 |
規制するようになったのは1968年からなんだ | |
昔の白黒映画って良かったよね。恋愛映画とかも綺麗でさ、昔の人はキスしたら子供ができるって思っていたくらいだったからね。 なんで昔の映画ってあんなにも純粋なんだろうって思ったでしょ。それはね、昔は映倫というのが映画を厳しくチェックしていて、そういう下品なシーンがあったら公開させなかったからなんだ。中には映倫を無視して上映に踏み切った会社もあったけど、やっぱり世間体というものがあるから、プロデューサーたちは、誰にでも見られる映画を作らなければならなかったんだ(その工夫が映画を面白くしていたんだけどね)。だから、昔の映画は子供も大人も関係なく見られたんだね。 でも、見せるべきシーンをカットされてしまっては、監督が納得しなかった。やっぱり自分の芸術にはとやかく言われたくなかったんだ。だから、映倫が緩くなった50年代あたりから、性的な描写も増えてきたんだ。でも、ハリウッドは批判され続けていたんだ。そこで、ようやく1968年、アメリカ映画制作者協会が、年齢制限を付けたことで、監督たちは大人ぽい映画を大手を振るって作れるようになったんだ。 だから1968年以降の作品は性的に露出度の高い作品が多いんだね。70年代に入ると傑作といえるポルノ映画まででてきたんだ。 |
「月蒼くして」 ”愛人、妊娠”というセリフが映倫に引っかかっていたが、映倫マークなしで公開。カトリック団体に非難された。 |
海外ではレイティングは絶対重視しているんだよ |
年齢制限システムのことを、レイティング・システムというんだ。日本ではアメリカよりも30年近く遅れて97年になってようやく本格化したんだけど、まだ海外に比べると少しも重要視されてない感じがするね。 海外だと、必ず映画にレイトが書いてある。僕も海外旅行したときには思い知らされたよ。映画館ではタイトルの右にでかでかと【R】マークが明記してあるし、テレビ番組見ていても、番組が始まったところで字幕スーパーで右上に【R】マークが表示されたんだ(向こうではお母さんも安心して子供と一緒に見る番組を選べるわけだね)。で、映画雑誌を開いてみても、ポスターを見てみても、どこかに【R】マークはきちんと書いてある。試しに君もインターネットで海外のビデオ紹介サイトでも見てご覧よ。クレジットのところに【R】ってちゃんと書いてあるから。 |
レイティング・システムの分類 | |
日本のR指定は「15歳未満は見られません」という意味だけど、海外のR指定は「17歳以下は保護者の同伴が必要」ということなんだね。R指定の他にもいくつか制限の種類があるから、書いておくよ。68年以降の作品でレイティングの参考になると思われるものもあげてみたよ。 | |
【G】General Audiences (一般指定。年齢制限なし) |
「アラジン」「美女と野獣」 「トイ・ストーリー」 「ファインディング・ニモ」 「モンスターズ・インク」 「ライオン・キング」 「リトル・マーメイド」など |
【PG】Parental Guidance Suggeested (条件付き指定。保護者の指導が望ましい) |
「アニー・ホール」「E.T.」「ガンジー」 「クレイマー、クレイマー」「シュレック」 「スーパーマン」「スター・ウォーズ」 「ネバーエンディング・ストーリー」 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」 「ホーム・アローン」「未知との遭遇」 「ライトスタッフ」「ロッキー」など |
【PG−13】Parents Strongly Cautioned (13歳以下の子供には不適切である) |
「ゴースト ニューヨークの幻」 |
【R】Restricted (R指定。17歳以下は保護者の同伴が必要) |
「アンタッチャブル」「ウッドストック」 |
【NC-17】No Children Under 17 Admitted (17歳以下は鑑賞できない) ※普通NC-17になるような映画は作らない |
「キル・ビル日本版」 「ショーガール」 「バッド・エデュケーション」 |
往年の映画人たちは今の映画に失望しているんだ |
最後だけど、この前ポール・ニューマンが引退するというニュースを見てびっくりした。理由は「ここ最近の映画の暴力描写とセックス描写に嫌気がさしたから」だって。ニューマンがそう思うのも無理ないよね。だってほんとそうなんだもんね。昔の映画のあのロマンスはどこにいったのやら。俳優だったロナルド・レーガン元大統領も今の映画にはご不満だったらしい。淀川長治先生も「もういい監督はロバート・ベントン一人だけになった」といってたけど、今の映画全部を批判するような言い方にも聞こえるよね。僕もほんと【G】(=一般指定)の映画がもっと増えて欲しいと思うよ。たぶん無理な話かな。こうさせた真犯人は大衆なんだろうからね。 |