タイトル
男はつらいよ 知床慕情
公開年
1987年8月15日(第38作目)DVD
ゲスト
三船敏郎、竹下景子、淡路恵子
ストーリー
寅が知床で頭の固い獣医の家に居候する
解説

日本ではリリー・シリーズの人気が高いが、外国で最も人気の高い作品はこの「知床慕情」である。無論、成功の要諦は、三船敏郎を出演させたことである。いつも怒鳴ってばかりの頑固オヤジの役であるが、心理変化はわかりやすく、それは世界中の人々が抱く三船像そのものである。本作における三船の存在感は計り知れず、渥美清も相当喰われている感じである。
本作は三船と淡路恵子の枯れた男女の恋愛が見どころであるが、それに寅の恋愛観を重ね合わせたことで、お互いが引き立てあって、1+1=2以上の効果をあげている。頑固オヤジは、寅と同じく、恋愛に対して臆病な男である。寅は頑固オヤジの姿を見て自分を見いだし、おせっかいながらも、応援したくなってくる。自分では恋愛はできないが、せめてこのオヤジは幸せになってもらいたいと思い、自分自身に言い聞かせるようにオヤジを説得し、男の勇気を与える。そしてオヤジの恋愛は見事成就する。まさか本当にうまくいくとは・・・。自分にはできないことを、自分よりも不器用な男が成し得たことに、寅は驚きを隠せない。それから間もなく、寅にも同じチャンスが訪れるが、みすみす逃してしまう。「今言わなければ一生言えないぞ」と他人に説教しておきながら、自分はそれがうまく試せない。寅は悔し紛れに、若い男に「好きな女がいたら大きな声でちゃんと好きって言うんだぞ」と言い聞かせるが、その若い男が以前マドンナに愛の告白をしたと聞かされ、再びショックを受ける。自分だけがどうしても男らしくなれない。恋に臆病な寅のそのやるせなさが胸をうつ、シリーズ屈指の名作である。

名台詞
獣医「寅さんがいてくれて良かった」

週刊シネママガジン