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解説
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リリーは人気ナンバー1のマドンナである。15作目でも惜しいところまでいった寅とリリーの関係を、あのまま終わらせてしまうのは少しもったいない。そこでまたまたリリーを登場させることに。こうなるといつもにも増して念入りに作らなければならなかった。そうして余計な小細工は抜きにして、寅とリリーのロマンス一本に絞ることになった。ポイントはストーリーが一本だけだということに尽きる。「男はつらいよ」は普通はひとつの作品でふたつ分のストーリーが楽しめるのが売りなのに、今回はそこにあえてひとつの作品にひとつのストーリーだけで勝負したわけである。いつも2回家出をする寅も今回は1回だけしか家出をしない。これは山田洋次がいかに気合いを入れていたかということ。本作には同棲・浮気・プロポーズといった今までにない展開もたっぷり盛り込むことができて、劇的で情感あるラブ・ロマンスが完成したのである。見れば見るほどコクがあり、細かい演出に感嘆させられる山田洋次入魂の力作である。 |
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