|
解説
|
|
「男はつらいよ」がなぜ面白いのかという答えが隠されており、絶対避けてはならないマストな一本なのである。
とらやにアメリカ人のセールスマンが下宿するというストーリーは、今までにまったく外国臭さを匂わせなかった生粋の日本文化映画であるこのシリーズにおいて、とても好奇心をくすぐる大事件である。とらやでアメリカ人がまるで異星人のように扱われるところが面白く、このようなシーンはハリウッド映画ではまず見られないだろう。
茶の間のシーンでは、両国の夫婦、両国の恋愛観をわざと比較しているが、そうすることで「男はつらいよ」の良いところが、純日本的な恋愛を描き続けていることなのだと認識させられる。実際、寅の恋愛騒動はハリウッドのラヴ・ストーリーよりもはるかに身近に感じるし、日本人には共感させられるところが多い。
アメリカ人を演じたハーブ・エデルマンは無二の適役で、彼の失恋物語は、寅の失恋物語よりもずっと印象的である。彼をイメージしたテーマ曲も雰囲気とマッチしていて良い。言ってみれば本作では寅の役柄を彼に奪われている。恋愛の相手がさくらなだけに感慨も深い。 |
|
|