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解説
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シリーズに再び変化が起こった。「惚れては振られて」を繰り返してきた寅が、ついに恋のコーチとなる。今までにも恋愛指南するケースは、3作目、14作目、16作目などでも見られたが、本格的なものは今回が初めてである。本作ではその後の30作目、35作目のように三角関係にもならないので、純粋に寅の名コーチぶりが楽しめる内容になっている。もちろん寅のロマンスも用意してあるので、一度に二度おいしい作品である。大竹しのぶ、藤村志保の二人のマドンナが出てくるのも意外である。見ものは中村雅俊と大竹しのぶの恋物語の方で、若々しさが今までにない新感覚である。どろどろとした恋愛映画の氾濫していた時代に、このように汚れのない恋物語を作ったのは、山田洋次ならでは。告白したらすぐに結婚するというところもこのシリーズの特徴である。
寅は今回もまた堅気になろうとする。もちろんマドンナのためにしたことだが、働きぶりをみても、寅には十分に素質があることがわかる。寅にとって恋愛することと堅気になることは切り離して考えられないのかもしれない。 |
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