リリーが出てくる作品は全部で4作あるが、4作ともシリーズの最高傑作と評価できる大作である。15作目はその中でも一番明るく、見せ場もいっぱいあって楽しい作品である。蒸発したサラリーマンを演じた船越英二のおかしさも一役買っているが、やはり寅とリリーが喧嘩しても、すぐに仲直りするところが微笑ましい。二人が相合い傘で歩くシーンでの二人の台詞には思わず涙がこぼれるし、ラストでリリーを追いかけることができない寅の後ろ姿も強く胸を打つ。
また渥美清が一人芝居で見せる名調子には、芸術と称すべき趣が出てきている。
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