週刊シネママガジン特別企画シネマガプレスヴァン・ヘルシング
ヴァン・ヘルシング

ヴァン・ヘルシング

「ヴァン・ヘルシング」Van Helsing
2004年/アメリカ映画/35mm/ビスタサイズ
制作・監督・脚本:スティーヴン・ソマーズ
キャスト:ヒュー・ジャックマン、ケイト・ベッキンセール

 スティーヴン・ソマーズ監督は、ルゴシ、カーロフ、チャニーの原点に帰りつつも、それを今のハリウッドのやり方で映像化している。モノクロ映像の序章では、シルエットだけで恐怖シーンを描写するなど、30年代のゴシックホラーの様式を意識したところを見せてくれるが、本編が始まると、今風の万人受けVFXスペクタクルへと作風が一変。何もかも隠さずはっきりと映像に写し出すのは今ならでは。変身シーンもかなり思い切ったものだ。
 ドラキュラ退治のヴァン・ヘルシング像は従来の初老の霊媒師然としたものから、セクシーなタフガイへとイメージチェンジされ、さまざまな特殊武器を使って怪物たちと立ち向かっていく姿が描かれる。ドラキュラ、フランケン、狼男については、その特性の説明を省いた分、アクションの見せ場をたっぷりと盛り込む余裕ができて、場面展開は息つく暇のないスピーディなものになった。
 ベースはヴァン・ヘルシングとドラキュラの壮絶なバトルであるが、そこにフランケンと狼男がどのように絡み合っていくかが見どころ。クライマックスでは、三大モンスターが同一シークェンスに入り交じって、グランド・ホテル形式の妙味を存分に見せつけてくれる。

 古典ホラーは、ショッキングな内容にして、どことなく悲劇的な要素があったものだが、「ヴァン・ヘルシング」はそこにオマージュを捧げてか、随所に怪物たちの物悲しさのようなものを添えている。そこがよくある冒険スペクタクルとは一味違うところ。主人公の描き方も思いも寄らない方向に向かっていく。近年流行っているアメコミのヒーローにはこうしたタイプの人物が多いが、ヒュー・ジャックマンは「X-MEN」に続いてまたまた特殊なヒーローを引き受けてくれて好演である。ただのヒーローには終わらないダーティな一面に注目してもらいたい。
 

三大モンスター

 ドラキュラ、フランケンシュタイン、狼男といえば、ユニバーサル・ホラーの大古典であり、この三大モンスターが長期に渡って花形スターとして活躍、あらゆる怪物映画に顔を見せたものである。「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」にも狼男が登場。依然として三大モンスターの人気は衰えていない。一般に、ベラ・ルゴシ、ボリス・カーロフ、ロン・チャニーJRによって演じられたドラキュラ、フランケン、狼男が三大モンスターのシンボル像として広く知られており、その後のモンスター映画の基板を築いたとされる。特徴が極端なキャラクターだったので、よく戯画化されたものだが、その出演頻度からすると「白雪姫」や「シンデレラ」以上に定着した感もある。今更説明しなくとも、三大モンスターがどのような特性を持っているかは誰だって知っている。この花形三大モンスターが、1本の映画に集結したら、どんなに面白いだろうか。その夢の共演を実現させたのが、ここで紹介する「ヴァン・ヘルシング」である。しかも製作は本家ユニバーサル。ホラー映画フリークにとってはよだれが出る内容だ。

ヴァン・ヘルシング旋風

 世界41カ国で同時ナンバー1を記録し、ユニバーサル映画史上の最高興行成績を収め、アニメ化され、テレビゲームや娯楽施設のアトラクションにもなった。キャンペーンをかねて、ユニバーサルの古典ホラーのDVDも一挙リリース。続編の製作も早くも決定した。「ヴァン・ヘルシング」は、まさに今最もホットな映画と言える。日本では9月4日より、全国拡大ロードショー。このブームには、乗らなきゃ損だぞ。

ヴァン・ヘルシング
9月4日(土)日本襲来!

MONSTER LEGENDGAGA

DVDの情報

2004年8月3日