是枝裕和の言葉
テレビのいちばんの罪は難しいことをわかりやすくしちゃうところだと思う。本来、世界は複雑にできているのだから、小説や映画はやっぱり世界を複雑なまま描くべきだと思います。複雑なものをどう複雑なものとして届けるか、もしくは簡単だと思われているものをどう複雑なものなんだって気づいてもらうか。 「この映画がすごい!」2004年9月号(宝島社発行)
<解説> なるほど。そういう考え方もありである。よく、簡単な映画ほど、多くの観客の共感を得られると言われているが、そういう作品でも、形式上は簡単に見えても、実はテーマが奥深かったりする。チャップリンや寅さんしかり。簡単なようで奥深いそのサジ加減が、良質の人間ドラマを生むのだ。
2004年8月2日