週刊シネママガジン特別企画名言集モンテ・ヘルマンの言葉

モンテ・ヘルマンの言葉

モンテ・ヘルマン

私が育ったのはハリウッド映画だから、純粋なアート映画を撮りたいというより、一流の映画をB級映画の予算で作ろうと思っている。重要なのは映画ではなく金なんだ。私のテイストにはそれがいいバランスとなった。いい修行となったよ。
まず、どんな映画も予算に関係なくつくれるということ。誰かが10ドルで映画を作って欲しいと言ってきたら、私は「イエス」と答える。
(ストレンジ・デイズ/2005年5月号)

 

<解説>
ロック歌手のジェームズ・テイラーとデニス・ウィルソンが主演する自動車うんちく映画「断絶」、あるいは「レザボア・ドッグス」のプロデューサーとして知られるモンテ・ヘルマン氏の言葉である。
彼の言葉は、映画を芸術としてよりも商品として作ることが、結果的には良い作品となることを示している。芸術作品を作ろうにも金がなければ作れない。商品ならば低コストでも作ることができる。実にヘルマンはほとんどお金をかけることなく沢山の収益をあげてきた。金儲けが彼にとって何より一番のモチベーションであるから、仕事もスムーズにすすむわけである。10ドルでも作るというくらいだから(現実は無理だが)、彼は映画を作ることが本当に楽しいのだろう。
スティーブン・スピルバーグもジェームズ・キャメロンも映画を始めた最初のきっかけは単純に映画が好きだったからなのだろうが、一度稼げるとわかってからは、常にお金のことが念頭にあり、観客に受ける商品作りを模索して、良質の娯楽映画を量産していった。表向きはフィルム・アーティストであるが本質はビジネスマンである。儲かるからこそ楽しくて楽しくてやめられない。そこから人間離れした強靱な活動力が生まれるのである。

2005年3月27日