週刊シネママガジン今週のスタージュリアン・ムーア、エリック・クラプトン
ジュリアン・ムーア
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ジュリアン・ムーア
 いろいろなところで「演技派」と褒めそやされるジュリアンだが、遅咲きの彼女がどうしてここまで尊敬されるようになったか。答えは彼女が出た群像劇を見ればわかる。ご存じのように、群像劇には沢山の映画俳優が出演し、主人公といえる人物は登場しない。そうそうたる顔ぶれの中で、誰よりも観客の記憶に残った俳優こそ、真の演技者ではなかろうか。ジュリアン・ムーアは群像劇に出演することが多かった。別に群像劇を好きこのんで選んでいたわけではないが、ジュリアンが少ない場面でキラリと光る演技を見せる女優だと直感したアルトマンとアンダーソン監督の目が正しかったのだ。ジュリアンは群像劇の出演を足がかりにして、各地の映画賞・映画祭で注目される存在となっていく。助演女優賞はともすれば主演女優賞よりもノミネートされにくいとされるが、ジュリアンはしばしばノミネートの常連になった。それが幸いして、主役も張れる女優となり、「エデンより彼方に」(02)と「めぐりあう時間たち」(02)でその人気は確固たるものとなった。
 もともと助演から始まったせいもあり、「逃亡者」(93)、「サイコ」(98)、「ビッグ・リボウスキ」(98)など、意外といろいろな作品で顔を見ることができる。ジェームズ・アイヴォリー、ニール・ジョーダン、ラッセ・ハルストレムら、業界を代表するアート系の監督たちの作品に出演したことも見逃せないが、「ロストワールド」(97)や「ハンニバル」(01)など、人気シリーズの続編の主役に抜擢される器量も大いに評価したい。

エリック・クラプトン

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 サイケデリック音楽が流行していた60年代半ば、エリック・クラプトン(ギター)、ジャック・ブルース(ベース)、ジンジャー・ベイカー(ドラムス)は、ロック史上最も影響力のあるトリオとなる「クリーム」を結成し、白人ブルーズにジャズのアドリブの要素を取り入れ、「ハード・ロック」という新しいジャンルを生み出した。ハード・ロックの醍醐味は、第一に演奏、第二に演奏、第三に演奏。己の殻に閉じこもり、他人に影響されぬまま、ひたすらにアドリブで内面の感情を表現していく。ハード・ロックのテンポは通常遅くて重厚なものがほとんど。楽器そのもののサウンドに酔いしれることがハード・ロックの神髄であり、歌やメロディなどは二の次だ。聴かせる音楽というよりは、己のために自作自演する音楽である。このやり方が60年代半ばから70年代初頭にかけて全盛であり、ベック・ボガート&アピス、レッド・ツェッペリン、オールマン・ブラザーズなど、数多くのハード・ロック・バンドが誕生したが、クラプトンのスロウなギター・ソロは、ライバルだったジミ・ヘンドリックスと共に、ハード・ロック・ギターの基板をすでに築きあげていた。僕が一番好きな音楽はハード・ロックだが、誤解しないで欲しいのは、今世間一般で「ハード・ロック」といわれているもののほとんどは「メタル」であり、厳密にはハード・ロックとはまったくもって別の音楽だということだ(だからハード・ロックとヘビメタを同等扱いされるのはかなりの抵抗がある)。本当のハード・ロックはクラプトンのような音楽を指している。
 映画ではグラミー賞に輝いたジョージ・ハリソンの「バングラディシュ・コンサート」(71)、ロック・オペラというジャンルを確立したザ・フーの「トミー」(75)、マーティン・スコセッシが監督したザ・バンドの「ラスト・ワルツ」(78)などで演奏を聴かせてくれる。記憶に新しいところでは「フェノミナン」(96)の主題歌「チェンジ・ザ・ワールド」が有名だ。

2003年10月19日